サッカー女子日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング8位)が、前半からアルゼンチン(同31位)を8得点で粉砕した。MF長谷川唯(26=マンチェスター・シティー)とMF清家貴子(27=三菱重工浦和レッズレディース)の2得点などで、ベスト8に入ったFIFA女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会の後、初の実戦を制した。

開始わずか2分で先制した。FW田中美南がゴール前でボールを奪い、左足で強烈なゴール。前半10分には長谷川のPKで追加点を挙げた。

同25分にはMF遠藤純の左クロスに、DF高橋はなが頭から豪快に飛び込んで頭で3点目。さらには同39分、敵陣中央に走り込んで田中美からのスルーパスを受けた長谷川が、寄せてきた相手選手2人をドリブルでかわし、右足シュートをゴール左に突き刺した。

W杯で澤穂希以来2人目の日本人得点王に輝き、イングランド女子スーパーリーグで昨季2位のマンチェスター・ユナイテッドに移籍したMF宮沢ひなたも先発。低弾道のシュートがアルゼンチンの40歳GKコレアに防がれるなど得点はなかったが、チーム2点目となった長谷川のPKを誘発するなど日本のサポーターを沸かせた。同じくW杯後、同リーグのウェストハムを新天地としたFW植木理子もハーフタイム後に出場した。

その中で後半も得点を重ねた。途中出場の清家が登場1分後の後半16分、ファーストタッチでゴールを割る。さらに北九州が地元のMF杉田妃和もチーム6点目を決めて故郷に錦を飾れば、植木もPKを獲得。W杯では外して悲しみに暮れたが、この日はGKの逆を突いた。イレブンも顔の前で両手を組んで祈っていた中、自らキックを沈めて笑顔を取り戻した。

ゴールラッシュにつながるチャレンジをしていた。今夏の女子W杯で採用していた3-4-2-1システムではなく4-3-3でプレー。長谷川がボランチではなく1列前のインサイドハーフに入ることで、より攻撃に絡む回数が増えた。池田太監督も納得の拳を握っていた。

来夏のパリ五輪(オリンピック)に向けたアジア2次予選が、来月26日にウズベキスタンで始まる。開幕前最後の実戦で新たな陣形も確かめて8発爆勝。ニッポンコールの中、ロスタイムに清家が2点目を決めて再出発を彩った。

池田監督「熱い応援をしていただいたサポーター、テレビの前で応援してくださった方々に感謝したい。また日本、北九州でアグレッシブな戦いが見せられればなと思っていた。新しいこと(4-3-3)も試しながら得点を重ねられた。10月にパリ五輪のアジア2次予選、来年は最終予選があるので、しっかりアジアの(出場権)2枠をつかみ取りたい」

DF熊谷紗希主将「たくさんのゴール取れたこと、勝てたこと、うれしいです。(この日は本職のセンターバックではなく中盤の底でプレーし)自チームでは経験あるポジション。普段通り。求められていることは守備の安定感だと思うので、しっかりできたと思います。引いてくる相手をどう崩すか、自分たちで動かしながら得点を重ねられたことは良かった。五輪に向けて厳しいアジアの戦いがあるので、チームとして1つ1つ積み上げて、そのために大切な強化試合だったので勝てて良かった。これからも、なでしこジャパンの応援よろしくお願いします!」

2得点の長谷川「日本でやる試合、なかなかない機会なので楽しみにしていたし、いいプレーを見せようとしていました。良かったです。最近、あまり前のポジションをやっていなかったんですけど、結果を出せて良かった。得点を見せられて、うれしかったです。(パリ五輪予選は)難しい戦いになると思いますけど、このチームなら上に行ける。しっかりいい準備をして戦いたい。応援ありがとうございました。なかなか日本の皆さんに会う機会が少なくて寂しいですけど、テレビの前でも応援してほしいと思います!」