サッカー女子日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング8位)は今日28日、国立で開催されるパリ五輪アジア最終予選第2戦で北朝鮮代表(同9位)と対戦する。04年のアテネ五輪アジア最終予選と同じ相手、場所での一戦で、パリ五輪出場権を争う。MF長野風花(24=リバプール)は、20年前に先制点を挙げたFW荒川恵理子(44=ちふれ埼玉)の教えを胸に大一番に臨む。日本女子サッカーの伝統、未来-。全てをかけて五輪切符をつかみとる覚悟だ。チームは会場で冒頭15分公開の前日練習で、決戦に備えた。

長野が魂を受け継いだ。04年4月24日。勝てばアテネ五輪出場が決まる北朝鮮戦。前半11分に相手の浮き球の処理ミスを見逃さず、右足で蹴り込んだのが、当時24歳の荒川だった。ちふれ埼玉時代に2季にわたって一緒にプレーし、愛し、尊敬する先輩と同じ年齢で試合に挑む。「先輩方は日本サッカーを背負って本当に死ぬ気で戦っていたというのを、がんさん(荒川)から聞いた」。北朝鮮戦に向けた応援動画メッセージも送られてきた。内容については「ふざけていることしか言っていなかった」と笑いながら明かしたが、背中を押された。当日も駆けつけてくれる予定だ。

20年前の勝利の立役者と自らを重ね合わせる。「私たちも同じような状況というか、私たちがここで結果を逃してしまったら、もっともっと女子サッカーってたぶん下がっていってしまう一方だと思うので、本当にそこは私たちも責任を持って、将来の選手のためにも何がなんでも取りたいです」。背番号10として引っ張る強い決意も示した。

当時、なでしこジャパンは00年のシドニー五輪出場を逃し、国内リーグは企業チームの撤退が相次いで、縮小を余儀なくされていた。女子サッカー自体がどうなるか分からない状況であり、五輪出場が未来の命運を握る認識で戦ったことは今の選手らも知っている。

危機感よりも自信がみなぎる。第1戦は中立地サウジアラビア・ジッダでスコアレスドロー。今日の国立で全てが決まる。すでに修正点は選手間で共有されている。「私たちがやってやるっていう思いがすごくみんなから伝わっているので、もうギラギラして、勝ち取りたいです」。ボンバーヘッドの先輩とは違う、サラサラ長髪スタイルの風花弾も狙い、日本女子サッカー界の夢をつないでいく。【佐藤成】

◆アテネ五輪アジア最終予選北朝鮮戦VTR 勝てば五輪出場が決まる試合で、膝を負傷していた大黒柱のMF澤穂希、FW荒川恵理子、FW大谷未央、MF宮本ともみらが出場した。当時「アジア最強」の北朝鮮には、13年間で7連敗を喫していたが、前半11分に荒川が先制点をあげると、同44分にOGで追加点。後半19分に大谷がダメ押し点を決めて、3-0で完勝した。女子サッカー界では「伝説の一戦」と語り継がれる。会場は旧国立で、3万1324人が観衆が詰めかけた。