なでしこが勝った。東京に続く2大会連続6度目の五輪出場をつかみ取った。女子日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング8位)は、負けたら終わりのパリ五輪切符をかけた決戦で、北朝鮮(同9位)を2-1で破った。

「熱男」の愛称で親しまれる池田太監督(53)に乗せられたイレブンは、前半26分にDF高橋はな(24=三菱重工浦和)が先制、後半32分にはMF藤野あおば(20=日テレ東京V)が追加点。GK山下杏也加(28=INAC神戸)の好守も光った。重圧のかかる大一番を熱量で勝ちきり、パリでの金メダルに挑む。

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試合終了のホイッスルと同時に池田監督は両手でガッツポーズした。ベンチから飛び出す選手を見送り、スタッフと熱く抱擁をかわした。「パリ五輪出場権を獲得したことをうれしく思います。タフな試合を戦った選手たちに敬意を示したい」。昨年のW杯得点王に輝いたMF宮沢ひなた、遠藤純、猶本光らをけがで欠き、24日の北朝鮮戦第1戦の中立国会場が直前まで決まらないドタバタも乗り越えたなでしこらも1人1人ギュッと抱き締め、たたえた。

選手から「熱男」と称される指揮官がパリ五輪出場に導いた。緊張感が高まる試合前にも「ワクワクするよ。この興奮をしっかりと味わいながらピッチで躍動しよう」と呼びかけて乗せた。選手たちはフィジカルに優れる相手に一歩も引かず、熱量マックスでゲームに入り、前半26分に先制。GK山下がゴールラインギリギリでボールをかき出すファインプレーも飛び出した。後半に追加点を奪って勝ちきった。

青学大時代に池田監督の2学年下だった川崎Fの竹内弘明GM(51)は、練習参加してすぐに池田先輩からかけられた言葉が印象に残っているという。「大学はよくも悪くも自分でやらなきゃダメなんだよ」。華やかな風土の大学でサッカーを続けるにあたり伝えられた心得だった。「この人めっちゃ熱い人だなと思いました。プレーも熱い」。 優勝に導いた18年のU-20W杯中、ミーティングで「このチームが大好きだし、まだまだこのチームで戦いたい」と涙を流したこともあった。今大会も第1戦の会場が決まらない中で「憤りのエネルギーはピッチ上でサッカーのことに使おう」と鼓舞。第2戦前夜には「失うものより手にするものと喜びもものすごく大きいものがある」とパリで躍動するイメージや国民に勇気を与えることの尊さを訴えた。18年の「涙のミーティング」の一員だったMF長野も「盛り上げてもらっている」とうなずいた。

熱さの中に冷静さも備える。11年W杯ドイツ大会以来、13年ぶりの世界一への挑戦権を得た。舞台は夏のパリ。「暑いので自分たちがボールをしっかりと動かせるように」と伸びしろを語った。目指すは「金メダル」と明言。「今日の勝利で少しでも何か感動を届けられたら。これからサッカーを始めたいなと思ってくれる少女たちが増えてくれることを本当に願っています」。国立の2万人超の観衆も熱狂させた男は、女子サッカーがもっともっと熱くなる瞬間を夢見る。【佐藤成】

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なでしこ、運命の北朝鮮戦 勝てばパリ五輪、負ければ終わりのアジア最終予選/ライブ速報