<国際親善試合:日本2-0バーレーン>◇12日◇バーレーン

 U-22(22歳以下)日本代表が日本人最高峰の「高さ」を手に入れた。中東遠征第2戦で同バーレーン代表と対戦し、勝利。五輪代表初先発の194センチFW指宿洋史(19=サバデル)が、前半44分にCKから相手に競り勝ってヘディング。オウンゴールを誘発して先制点につなげた。FW永井謙佑(21=名古屋)の「速さ」に加え、6月からの12年ロンドン五輪予選に向けて、貴重なオプションを手にした。

 スペインから来た超大型FWが高々と宙を舞った。前半44分のCKに、FW指宿が相手2人と競り合いながらジャンプ。悠々と頭1つ抜け出して合わせた。軌道が変わったボールは相手DFに当たり、そのままゴールへ。「ボールをもらう動きとかはまだまだだったけど、ヘディングはみせられた。1点を取れたのは大きい」。結果的にはオウンゴールの判定も、驚異の高さをいかんなく発揮した。

 190センチの平山相太を超える「五輪代表最長身ゴール」はならなかったが、後半27分に永井と交代するまで、最前線で体を張り続けた。本人は連係不足を口にしたが、関塚監督は「だんだん彼の良さが出るようになった」と高評価。金メダルに輝いた昨年11月のアジア大会では、1トップは永井。「速さ」が武器だった五輪世代に「高さ」が加わった。

 Jリーグを経験せずにスペインのプロクラブと契約した日本人初の選手だ。柏ユースから、トップ昇格できずも、日本で指導するスペイン人指導者の目に留まった。今季はスペイン3部のサバデルに所属。リーグ7得点を挙げ、チーム最多得点を誇る。

 バルセロナ郊外サバデイ市で、東から来た日本人は、今ではすっかり町のアイドルになった。老若男女に愛され、試合後はスタジアム近くのカフェで、ごちそう攻めにあう。

 今遠征では、日本協会は大事な戦力の離脱を避けたいサバデルと交渉を重ねた。結果、2月6日のリーグ戦後に合流。原技術委員長は「五輪予選に向けて必要な戦力。無理に来てもらった」と説明。3月29日に日本で行われる親善試合には招集を控えることで、クラブと合意した。指宿自身は「常に今回が最後だと思っている」と不退転の覚悟で今遠征に臨んでいた。

 6月のロンドン五輪2次予選はホームアンドアウェーの一発勝負。敵地での戦いが鍵を握る。「五輪に出ればチャンスが広がる。特に欧州でやる大会なんで」と話す19歳が「高さ」でロンドンへの道を開く。【阿部健吾】