【ドーハ28日】“幸運のバリカン”の力でアジア王者になる! リオデジャネイロ五輪出場を決めたU-23(23歳以下)日本代表は、あす30日の決勝で韓国と対戦する。大会に入って5戦5勝と好調の日本には、ある秘密があった。GK杉本大地(22=徳島)が持参したバリカンで頭を刈り上げた人が次々とゴールを挙げているのだ。不思議な力を借りて次にヒーローとなるのは一体誰? この日はドーハ市内で練習した。

 決意のヘアスタイルに次々と幸運が舞い降りた。準決勝イラク戦(26日)の前日練習のこと。MF原川が、きっちりと両サイドを刈り上げてピッチに姿を現した。もちろん翌日、自分が五輪決定弾を放つとは知るよしもない。「長くて耐えられなかった」と、京都時代に同僚だった杉本のバリカンを借りた。するとイラク戦の後半ロスタイム。6大会連続10度目の五輪出場を決める左足ミドルが突き刺さった。原川は「頭が軽くなったからかな」と、劇的弾の要因? を明かしていた。

 それだけではなかった。1次リーグ第2戦のタイ戦の前にFW久保も杉本からバリカンを借り、両サイドを刈り上げると、タイ戦で2得点。久保は「そんないいバリカンでもないでしょ!」と、あえて言うが、“幸運のバリカン”の持ち主、杉本は「2人が決めてくれてうれしい。俺のおかげですかね」と一役買ったことに笑顔いっぱいだ。

 次に立ち向かう相手は宿敵韓国。14年の仁川アジア大会準々決勝は0-1で敗れ、4強入りを阻まれた。12年のロンドン五輪では1世代上が44年ぶりメダルを懸けた3位決定戦で敗れている。決戦に向けて、日本は練習でしっかりと汗を流した。そして杉本も万全だった。「髪の毛が詰まっていたので、バリカンを分解して洗いました」。先が開いた歯ブラシでしっかり磨き上げたという。

 出場はサウジアラビア戦の1試合。それ以外はサポートに奮闘した杉本は「次、誰が来てもらってもいいですよ。でも久保と原川にはもう1度刈らせます。日韓戦は勝ってこそ意味がある。韓国をたたいて日本に帰りたい」。運も味方につけて韓国にリベンジを果たす。【小杉舞】