聖和学園(宮城)はPK戦の末、徳島市立を破り、4度目の出場で初の3回戦進出を決めた。

 加見成司監督(44)から「下手」と言われ続けたチームが、聖和学園の歴史を塗り替えた。主将のDF小倉は「ミーティングでは『史上最弱から史上最強になろう』が合言葉。(加見監督を)見返してやろうという気持ちはありましたし、それが今日の結果につながったと思います」。反骨心で2回戦の壁を破った。

 後半21分にFW大八木が自らのシュートのこぼれ球を押し込んで先制。4分後に追いつかれ、迎えたPK戦。加見監督が「ウチは勝ったためしがない」と言えば、3本目を止めたGK吉田も「(得意じゃないから)見るとヒヤヒヤするので」と、仲間が蹴る時は背を向けて情報を遮断したほど苦手意識は強かったが、4人全員が成功させた。

 泥くさい先制弾に始まり、魅せるサッカーを掲げるチームとしては“らしくない”勝利に映る。しかし、それこそが真骨頂だ。試合前に徹底するのは「1対1の球際」「奪われた時の守備の切り替え」の2点。小倉は「ドリブルの聖和と言われて、相手を翻弄(ほんろう)というか(いい意味で)バカにしているサッカーに思われがちなんですけど、本当に大事にしているのは、そういう泥くさい部分なんです」とうなずく。

 次戦は1年前に0-5で完敗した青森山田。今のチームはベストメンバーと対戦するのも初めてだ。鬼門突破の次に狙うのは、優勝候補相手の番狂わせ。「(3回戦進出は)通過点です。まだ満足していない。日本一の相手に、どれだけやれるか楽しみです」。全員の思いを小倉が代弁した。【亀山泰宏】