東海大仰星(大阪)が2-0で富山第一に完勝し、過去最高に並ぶ8強に進んだ。2年生GK宮本一郎が神セーブで2試合連続の完封に貢献。1回戦でもPKを止めており、最も波に乗っている男だ。明日5日の準々決勝では初の4強入りを懸けて、前回王者東福岡と対戦する。

 宮本は東海大仰星の高い壁として最後まで立ちはだかった。1-0の後半20分、最大のピンチが訪れた。DF陣が相手にドリブルで突破された。フリーで宮本と1対1になった。「危ない」。焦る気持ちを抑えて冷静になり、相手が放った厳しいコースへのシュートを左手1本で止めた。

 「練習の成果が出た。どこに(シュートが)来ても反応できるように集中力を高めていた。止められて良かった」

 184センチの守護神は、初戦はPKを止めて難敵藤枝明誠に勝利。2回戦の鹿島学園と、この日の富山第一戦は完封勝利へと導き、存在感を高めている。小5でサッカーを始めてGK一筋。「1対1やPKを完璧に止めた時」にGKの楽しさを見いだすという。

 そのため、普段は居残りで約50本のシュートを止める練習を重ねる。おとなしくマイペースな性格だが、好きな選手は元ドイツ代表GKカーン。「自分とは似ていない闘争心あふれるGKになりたい」。究極のGKを目指す強い気持ちが大舞台での躍進につながっている。

 初の4強まであと1勝。今冬、花園での大会2連覇を目指すラグビー部は一足先に4強が決定した。中務(なかつか)監督は「ラグビー部は優勝候補。私たちの場合は1戦1戦勝っていかないといけない。次、うちは優勝大本命と当たるので」。

 準々決勝の相手は前回王者の東福岡。宮本は「自分の出番が増えると思う。どんな内容であっても無失点」と言い切った。東福岡を倒せば悲願の初優勝も見えてくる。大阪勢の全国制覇は73年度の北陽(現関大北陽)以来。地元の夢も背負って、東海大仰星は快進撃を続ける。【小杉舞】

 ◆宮本一郎(みやもと・いちろう)1999年(平11)6月28日、大阪・門真市生まれ。小5で門真沖SCに入団し、GKでサッカーを始める。東海大仰星に入学後、2年春から主力に。家族は両親、弟2人、妹。184センチ、81キロ。