サッカーの全国高校選手権は7日、埼玉スタジアムで準決勝2試合が行われる。いずれも伝統校と初めて4強入りしたチームが対戦。20大会連続出場の高円宮杯U-18チャンピオンシップ王者の青森山田と東海大仰星(大阪)、2大会前に準優勝した前橋育英(群馬)と佐野日大(栃木)がぶつかる。各校は6日、都内や埼玉県内で最終調整した。

 超守備的布陣で臨む佐野日大の攻撃は、FW歴6カ月の野沢陸(3年)のポストプレーにかかっている。5-4-1の1トップを務める野沢は「1秒でも長くボールを持てば仲間が上がってくる。勝つためにつぶれ役になる」と誓った。

 昨年6月までは4-4-2の司令塔だった。総体県大会準決勝で矢板中央に敗戦後、海老沼監督が布陣を変更。身長180センチの野沢は1トップにコンバートされた。「初めてFWに入った紅白戦で2得点しちゃって…」。MFへの復帰を懇願したが「長身を生かしてタメをつくれば周囲が助かる」と説得された。1トップの動きは日本代表FW大迫の動画で学んだ。苦手だった守備は指揮官の「守備が嫌でなく、チャンスだと思えるようになれ」との言葉を信じて改善。「自分が起点になって、ボランチで学んだパス力を生かせれば」と話す。

 前橋育英のFW人見とは小学6年からの知り合いで「自分も点を取りたいし、人見には取られたくない」とライバル心をのぞかせる。「前橋育英はタレント軍団だけど組織力では負けない。見返したい気持ちはある」と、勝ってさらに歴史を塗り替える。【岩田千代巳】