青森山田の「GM」が機能し、東海大仰星(大阪)に2-1で勝利。09年度以来、7大会ぶりの決勝進出を決めた。同点に追いつかれた後の前半41分にはMF郷家友太(2年)のロングスローを起点にFW高橋壱晟(3年)が勝ち越し弾を決めた。これで3試合連続で郷家のロングスローが得点となった。先制弾を決めたDF三国スティビアエブス(3年)が標的となってスローインを頭で落とし、3人目がシュートを決めるパターンが確立してきた。2人のホットラインが悲願の初優勝のカギを握る。

 青森山田の「ゴールメーカー」だ。同点の前半41分、MF郷家が敵陣ゴールラインから約7メートル手前の左サイドで助走を取る。弓矢のように体をしならせると両腕からボールを放つ。約20メートル先に届くロングスローをFW鳴海がはたきDF小山がシュート。GKがはじいた所をMF高橋がねじ込んだ。勝ち越し弾の起点となった郷家は「三国にマークがついていたので鳴海に投げました」と裏をかいたスローが奏功したと喜んだ。

 脅威のG(郷家)とM(三国)のホットラインだ。ロングスローからの得点は3戦連続。郷家のスローを186センチの三国が頭で落とし、走り込んだ選手がズドン。FKやCKと同じく得点パターンとして定着した。郷家は「県大会では全然入っていなかったのが、全国では入って不思議」と笑う。ポスト役の三国は「3試合で3得点なので次の決勝も取っていきたい。郷家が投げてくれるのは頼もしい」と胸を張る。

 先輩も目を細める。スタンドで観戦した東学大DF原山海里(1年)は郷家の師匠。ロングスローで前年度大会を席巻し、青森山田を4強へ導いた。2年前の夏前に「いきなり郷家が教えてくださいって来た」と2学年下の後輩に弟子入りを志願され、指導した。投げ方のポイントは柔軟性。全身を使うことと、長い手足でしなりを加えて距離を生む。「郷家のスローは質が変わった。自分が3年の時は(軌道が)ふんわりだったのがライナーになった」と後輩の成長を喜んだ。

 得点への好循環がある。前半23分には三国が左サイドでゴール前の切り返しで相手守備を外し、芸術的なシュートでゴールの右サイドネットを揺らした。三国は「全国で初めて点が取れて、マジうれしい」と決定力も上昇している。

 GMの活躍で7大会ぶりの決勝進出。初優勝へ、郷家は「監督からは攻守で欠かせない存在と言われています」と得点を量産すると意気込んだ。【島根純】