湘南ベルマーレDF島村毅(31)が、6月29日に1歳の誕生日を迎えたばかりの、第1子の長男に贈る“バースデー弾”でチームを4連勝に導いた。

 島村は前半45分、MF秋野央樹の右CKをゴール正面でフリーで待ち受けると、右足で豪快にたたき込んだ。「前日、今日と確認したサインプレー。チームがしっかり分析して、有効だと用意してくれた。みんながおとりになって、僕をフリーにしてくれた。狙い通りにいいボールがきて、驚くくらい冷静に蹴ることが出来た」。スタッフへの感謝の気持ちも込めて、決めた直後は両手を広げてベンチに走り、みんなで抱き合って喜んだ。

 Jリーグでのゴールは、J1時代の15年8月12日の清水エスパルス戦以来約2年ぶり。J2及びホームでのゴールは14年10月19日のV・ファーレン長崎戦以来、2年9カ月ぶりだった。「リーグ戦は去年、1点も取れなかったのが何より悔しかった。ホッとしていますし感謝しています」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 この日は、長男を抱いて初めて入場した。「今日は初めて息子と入場した。一昨日、息子の誕生日だったので、覚えてないでしょうけど最高の誕生日プレゼントになったと思います」。記念すべき日に、長男に贈るゴールを決められたことが、何よりうれしかった。

 2008年に加入したチーム最古参。プロ入り後、FWからDFにコンバートされ、得点力と183センチの長身を生かした高さのある守備を併せ持つユーティリティーさが売りだが、今季序盤はなかなか出場機会に恵まれなかった。「出られないのは理由があると思ったし、調子も正直、良くなかった」(島村)中、練習にひたむきに取り組む姿勢を、曹貴裁監督は常に高く評価していた。

 ここ4戦連続で出場し、約3カ月ぶりに先発のピッチに立った前節6月25日の横浜FC戦ではFWイバ(32)を完封。2戦連続で先発し、チームを勝利に導き「練習から体もよく動き、しっかりアピールできていたのかな。試合で使ってもらえたら勝利に貢献するだけ。このまま出続けられるように頑張りたい」。

 史上最速のJ1昇格を果たした14年9月23日の京都サンガ戦では、1-2で迎えた後半39分に左足で同点弾を決め、土壇場で湘南を昇格に導くなど、持っている男・島村の熱い夏がきた。【村上幸将】