ベガルタ仙台がホームで川崎フロンターレを3-2で下し、初の決勝進出に向けて先手を取った。前半24分にFW石原直樹(33)が先制弾を決めると、同33分と同終了間際にFWクリスラン(25)が2点を挙げた。しかし後半、クリスランが負傷交代し、石原が2枚目の警告を受けて退場。苦しい展開に陥り、アウェーゴール2点を献上してしまった。8日敵地での第2戦に向け、底力が試されることになった。

 勝利を素直には喜べない。渡辺晋監督(43)は「まあ終わったことなんでね、いろんなものが覆らない。ただ試合後、選手には『これをエネルギーに変えていくしかない。3-2で勝っているのは事実なんだ』と言った」と総括した。

 前半、チームは躍動した。FW西村のスルーパスをDF裏へ抜け出した石原が受け、鮮やかに先制ゴールを決めた。さらに石原と並びチーム最多のリーグ8得点のFWクリスランが2得点。相手のキーマンMF中村もしっかりと封じ、MF奥埜は「前半は自由を与えなかった」と振り返った。

 ただ後半、歯車が狂い始めた。同16分。クリスランが右足内転筋の違和感でピッチを去った。そして同27分。苦手なセットプレーから失点。またもゾーンディフェンスの弱点をつかれた。直後に石原が痛恨のこの試合2度目の警告を受け、退場。第2戦は出場停止。その後相手ベンチ入り選手が抗議で警告を受けるなど荒れた試合展開に突入。そして試合終了間際、空中戦を制した相手FWに決められた。

 DF椎橋も前半に左太もも裏の違和感で交代。アウェーゴールを2発決められた。だが、クリスランは言う。「ナオ(石原)がいなくなるのはチームにとって大きい。僕も彼とプレーするのが好きだ。ただ誰が出ても『ナオの分もやる』と思う。僕はしっかりと準備して、試合の日(8日)には100%で臨みたい」。第2戦は、勝利かドロー、敗れても1点差以内で3得点以上なら、無条件で決勝進出が決まる。ヒーロー登場を待ちわびるだけだ。【秋吉裕介】