前半と後半で、鹿島アントラーズはまるで別のチームだった。縦に急ぎすぎて、展開が少ない前半。放ったシュートは清水エスパルスの7本に対して、わずか1本だった。不用意なパスを奪われる場面も続き、重心が後方に下がる。我慢を心に刻んだが、前半40分にMFレオ・シルバがペナルティーエリア内で相手を倒してPKを与えてしまった。「僕と(植田)ナオと(三竿)健斗の3人で『おれたちは守備に集中しよう。攻められているけど大丈夫』と話した直後のPKだった」とDF昌子源。嫌なムードになりかけた。

 そこをしのいだのは、GKクォン・スンテだった。「清水も開幕戦で、ホームでたくさんのサポーターの前で勝ちたいという気持ちの表れから、いつも通りのコースに蹴るだろうと思った。試合前に映像を見て、ある程度、予測したことでうまく止められた」。清水FWクリスランのシュートを左に飛んで、21日のACL水原戦から2試合連続となるPKストップ。Jリーグに限れば2010年5月5日のC大阪戦以来、2853日ぶりの復帰となったDF内田篤人は「前半0-0に抑えられたので、首の皮一枚、つながった」。 ハーフタイム。大岩剛監督からカミナリが落ちた。「要因はいろいろあるが、大前提として、自分たちの気持ちの問題。厳しく言いました」。昌子も「かなり怒っていました。そうやって、しっかりカツを入れてくれた」。戦う姿勢を取り戻し、ボールが両サイドを激しく行き来する。後半は完全に、試合を支配した。 結局、得点を入れられずに初戦は引き分けだった。それでも内田は「まぁ、いいんじゃないかな。(次の試合まで)1週間あるし、みんな分かっていると思うので、こういう(試合を経て)ので良くなっていけばいい」と悲観的にはならなかった。