川崎フロンターレが、FW小林悠(30)の25メートル同点弾などで柏レイソルに2-1と逆転勝ちし、連敗を2で止めた。後半13分、高い位置でボールを拾うとそのままドリブルし右足を一閃(いっせん)。ワールドカップ・ロシア大会の代表へ向け、こちらも代表を狙う柏GK中村の“とりで”を打ち破った。14日に決まるW杯予備登録メンバー35人入りを懸けた最後の試合で、エースの役目を果たし、アピールに成功した。

 本人もビックリのスーパーゴールだった。0-1の後半13分。小林は、MF守田が柏MFキム・ボギョンに体を寄せに行った瞬間「守田ならつぶしてくれる」と信じた。こぼれ球が目の前に転がると、ドリブルで前へ。ゴール正面25メートル付近で「自分のシュートレンジではない」と考えたが、ハーフタイムで鬼木監督が「思い切って打っていこう」と話したことを思い出し、迷わず右足を振り抜いた。GK中村が届かないゴール左上に突き刺さり「入って自分が一番ビックリして…」。息子と約束した妖怪ウォッチ「ガッツ仮面」のゴールパフォーマンスを忘れてしまうほど。「自分としてはなかなかない距離。気持ち良かった」と今季4点目に笑みをこぼした。

 浦和、東京に敗れ、3年ぶりの連敗を喫して迎えた一戦。連敗以上に、チームが2試合無得点で、エースとしてふがいなく感じていた。試合前のミーティングで指揮官が「自分たちのターニングポイントにしよう。シーズン終わって優勝した時、この試合で盛り返したという試合にしよう」というゲキも心に響いた。今季初の逆転勝利への号砲となる1発に「去年も、こういう展開の試合はたくさんあった。チームの一体感が出ていた」と振り返った。

 明日14日にはW杯の予備登録35人が決まる。30歳の小林は「年齢的にも今回が最後のチャンス」とロシアへの思いは強い。「しっかりチームの勝利に徹しましたし。勝ちにつながるゴールも決められた。やりきったと思います」。あとは18日に行われるガーナ戦に向けた日本代表の発表を待つだけだ。【岩田千代巳】