J1浦和レッズDF遠藤航(25)が、5日にワールドカップ(W杯)ロシア大会から帰国し、6日で迎えたJ2松本山雅戦に先発、フル出場した。

 遠藤は3バックの右に入ったが、前半10分、一瞬のスキを突かれて松本MFセルジーニョに中央からパスを通され、DF下川陽太にサイドをえぐられて低いクロスを入れられると、ニアサイドに入り込んだFW永井龍(27)に押し込まれ、先制を許した。「中もフリーだったし、失点の仕方は良くなかった。その後も焦らず、自分たちでボールを動かしながら、チャンスを作った結果、前半で追いつけたのは大きかった。後半に入るのに落ち着いた」と反省しつつも、冷静に振り返った。

 一方、攻撃面では、前半7分に後方からFW興梠慎三に1発で通したり、FW武藤雄樹に再三、出したロングパスの鋭さは出色だった。「自分が持ったら、周りの選手が動いてくれる。しっかりピンポイントで合わせられれば、1発でチャンスになるのは意識していた。ブロックを引いてくる相手に裏を使うのは重要」と手応えも口にした。

 浦和は、W杯のためJ1リーグ戦が中断する前の最後の試合となった、5月19日のガンバ大阪戦に0-0で引き分けた。その後、ルヴァン杯プレーオフステージでJ2ヴァンフォーレ甲府の前に敗退。それを受けて、シーズン途中の4月19日に就任したオズワルド・オリベイラ監督(67)の元、キャンプを行いチーム作りを進めてきた。一方、対戦相手の松本は、W杯期間中もリーグ戦が継続するJ2で、3連勝で首位に立つなど好調だった。遠藤は「僕だけじゃなく、みんな久しぶりのゲーム。公式戦は雰囲気も違うし、相手はリーグを戦い、コンディションもいい中で多少、押し込まれるところもあると思いましたけど、しっかりボールを動かすところ、守るところをハッキリしながらやれていた」と苦戦を冷静に分析した。

 チームから離れ、5月21日から日本代表合宿に入ったが、W杯本番では出番がなかった。自らの現状に話が及ぶと「特に難しさはないですね。いつも通り臨むだけだった。ゲームから離れたと言っても1カ月の話。ポジションは違うところをやっていても感覚は落ちないです」と語った。「久しぶりのゲームだったし、チームとしてはしっかり上に行くのは意識してかなえられた。勝てて良かった」と前向きに語った。

 これからは、気持ちを切り替えて浦和での戦いに臨む。遠藤は「今日はセットプレーで取りましたけど、もう少しいい形を作らないといけない。そうしないと、リーグを戦っていく上では厳しい。前半戦では、なかなか点が取れないのがチームの課題としてあった。コンビネーションだったり、もっと、もっと突き詰めてチームとしてやっていくべき」と攻撃面の改善点を口にした。【村上幸将】