前節は、首位サンフレッチェ広島がホームで浦和レッズに1-4と大敗したが、2位FC東京もV・ファーレン長崎に0-1で敗れ、4月14日のセレッソ大阪戦以来10戦、3カ月ぶりの黒星を喫した。3位の川崎フロンターレは湘南ベルマーレと対戦予定だったが、台風12号の影響で試合が中止となった。その中、ヴィッセル神戸がスペイン代表MFイニエスタが初先発した柏レイソル戦に1-0で勝ち、川崎Fと勝ち点5差の暫定4位に浮上した。

 今節の注目カードは、広島に勝った浦和が川崎Fをホームに迎える一戦だ。Jリーグ公式サイトも、17年のアジア・チャンピオンズリーグ王者の浦和と同年のJリーグ王者・川崎Fの“王者対決”と盛り上げている。過去の対戦成績では、ホーム2連敗、4分け3敗で7試合連続勝ちなしと浦和に厳しいデータが残っている。

 その中、浦和の“光明”は、新加入のFWファブリシオだ。広島戦では移籍後、初ゴールを決めるなど、エースのFW興梠慎三に負担がかかりがちだと懸念していた、オリベイラ監督の期待に応えた。鹿島アントラーズの一員として戦った17年元日の天皇杯決勝では、延長前半4分に劇的な決勝弾を決め、川崎Fの初タイトルへの夢を粉砕したことも記憶に新しい。ファブリシオは再び“川崎キラー”となるか?

 東京はアウェーで鹿島と対戦する。長崎戦の前半は、5日に右肩を脱臼し、復帰したFW永井謙佑とオリベイラが中断明け初の2トップを組んだが機能せず、プレスがかからずに後手に回り、後半32分に長崎のスペイン人FWファンマの一撃に沈んだ。リーグ戦は3勝1分けと、ここ4戦、負けがない“お得意さま”鹿島相手に巻き返したいところだ。

 広島はアウェーで横浜F・マリノスと対戦する。横浜とは17年は1勝1分け、アウェーでは2勝1分けと負けがない。前節は、敗れたものの東京が“共倒れ”し、川崎Fも試合が台風で延期となり、勝ち点差を詰められず救われたところもあるだけに、勝ち点3を勝ち取りたいところだ。

 一方、横浜はポステコグルー監督が父ジムさんの容体が悪化しオーストラリアに帰国していたが、同監督は父が亡くなり27日に再来日し、チームに再合流した。指揮官が不在の中で戦った22日の東京戦は2-5で敗れたが、ポステコグルー監督が率いた18日のベガルタ仙台戦は8-2で大勝している。DF中沢佑二は東京戦後「大勝ちからの大負け…良いイメージを持って臨むのはいいことだと思うんですけど」と指摘した一方で「毎試合、点を取れている。それは去年と比べて、格段の進歩なので。失点が増えているのを、どうケアするか」と攻撃面での進化も口にしている。

 28日の清水エスパルス戦が台風12号の影響で中止となり、広島戦がポステコグルー監督の復帰初戦となる。横浜が進化を続ける攻撃がはまれば、広島も簡単には抑えられないだろう。