サガン鳥栖FWフェルナンドトーレス(34)が、“盟友”の前で来日初ゴールを決めた。10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会でスペイン代表をともに世界一に導いたヴィッセル神戸MFアンドレス・イニエスタ(34)との競演が日本で初めて実現。両者ベンチスタートだったが後半途中から約30分、ピッチで戦った。フェルナンドトーレスは後半39分、公式戦8戦目で待望の来日初ゴール。鳥栖が3-0の快勝で8強に進んだ。

 世界一流の嗅覚だった。後半39分、鳥栖MF福田のパスにフェルナンドトーレスがゴール前、抜群の位置取りで待ち構えていた。右足を振り抜くと、ゴールポストに当たりネットを揺らす。公式戦8戦目の来日初ゴール。その記念の一撃を“盟友”の前で決めた。

 「このスタジアムで、これだけのサポーターの前で最初のゴールができてうれしい」。平日にもかかわらず1万7361人がベアスタに詰めかけた。その動員力はもちろん、スペインが生んだスーパースター。19日湘南戦で痛めた右足を考慮されベンチスタートのイニエスタは0-2の後半11分、先にピッチに入った。その8分後にフェルナンドトーレスが登場。後半28分までプレーした神戸FWポドルスキも、14年W杯ブラジル大会を制した元ドイツ代表。佐賀の鳥栖で世界一を経験した3人の競演実現は奇跡的でもあった。

 湘南ベルマーレ戦後に「次は自分にとって大きな友人であるフェルナンドトーレスと戦う。特別な試合になる」と話していたイニエスタ。「トーナメントで敗退は、残念で悲しい。自分はいいプレーができなかった」と結果を受け止め「トーレスと一緒にプレーできたことは喜んでいる。素晴らしいプレーヤーだからこれからもゴールを決めて、チームに貢献していくだろう」と祝福。フェルナンドトーレスも「一緒にプレーできてうれしかった。彼も神戸のためにいいプレーをしている」とエールを返した。

 戦いは続く。次に競演の可能性は11月10日のリーグ戦(ノエスタ)。鳥栖を救うためにやって来たストライカーは「これから何回もゴールを決めたい」と力をこめた。【実藤健一】