湘南ベルマーレは今年4月にフィットネスクラブを運営するRIZAP(ライザップ)グループの傘下に入り、7月から同社の管理栄養士が選手の食事面のサポートをしている。わずか3カ月でけが予防、体脂肪減などの効果が表れ、ルヴァン杯では22年ぶりに4強に残っている。準決勝(10、14日)を前にサッカーに多方面から切り込む企画「ザツガク」で結果にコミットしている湘南とライザップの取り組みに迫った。

湘南では7月からライザップの栄養サポートに取り組み、24選手がアドバイスを受けた。毎日3食の写真を同社の管理栄養士、苫米地瑞紀氏(26)に送り、栄養面の助言が返信される仕組みだ。現在も長期的に続けているのは独身の若手で20歳のDF杉岡、19歳のMF斉藤、23歳のMF秋野。家族がいるMF梅崎、DF大野らも夫人との二人三脚でサポートを受けている。

若手が「勉強になった」と明かすのは、試合当日の食事だ。たっぷりの炭水化物に加え、ビタミンとミネラルも取ることが推奨された。苫米地氏は「炭水化物はエネルギーになるのですが、一緒にビタミンがないとエネルギーとして働かない」と具体的に説明する。

試合日には(1)フルーツをしっかり取る(2)食物繊維の多い食品は避け、温野菜など消化の良い物を取る(3)和菓子は食べてもOK、を掲げる。和菓子は消化に時間がかかる脂質が少なく、購入しやすく、フルーツに比べてカットする時間もなく手軽に食べられることからお薦めだという。杉岡は試合当日にどら焼きを食べることもある。

試合3~4時間前になると、食物繊維の多い食品は避ける方がいいそうだ。苫米地氏は「食物繊維はガスがたまりやすい。その結果、試合でおなかの調子が乱れる可能性もあるので、できれば避けていただいた方がいいですね」。斉藤は試合日にフルーツを取るよう心がけ、秋野はサツマイモを避け、消化の良い温野菜を食べるようになった。

各選手はライザップから出向しているフィジカルトレーナーと「将来なりたい姿」の目標を掲げている。秋野の場合は「体脂肪減・体重増」で、普段の筋力トレーニングに加え、苫米地氏のアドバイスで間食におにぎりを食べるようになった。体重は1キロ増え、体脂肪は1%減。なりたい姿に近づいている。

「継続することが大事」と話す選手たちは今季、けがによる長期離脱はない。ハードで知られる湘南の練習。その成果を試合で発揮できている一因にはライザップの存在がある。【岩田千代巳】