J1最終節が行われ、13位ジュビロ磐田がアウェーで川崎フロンターレに敗れ、J1参入プレーオフに回る16位に転落した。引き分け以上で残留確定の中、後半33分にFW大久保嘉人(36)のゴールで先制。優位に立つも、同38分に同点、ロスタイムには決勝点を許した。12位横浜F・マリノスから5チームが勝ち点41で並んだが得失点差で下回った。プレーオフでは、今日2日に行われる横浜FC-東京ヴェルディの勝者と8日にJ1生き残りをかけて戦う。

1-1で迎えた後半ロスタイム。悪夢が磐田を襲った。相手の左クロスが、必死に体を投げ出したDF大井の足に当たり、そのままゴールに。表示された規定の4分まで残り約30秒。痛すぎる失点を喫すると、直後に無情のホイッスルが鳴る。反撃の時間は残されていなかった。

自力での残留を決められた「勝ち点1」が、土壇場で消えた。他会場では、14位湘南ベルマーレ-16位名古屋グランパスが引き分け。15位サガン鳥栖も勝ち点1を積み上げ、12位横浜も1点差の惜敗。他力での残留もない。名波監督は、ぼうぜんとピッチを見つめた。「今は、今日のこの残酷な結果を受けとめるので必死」。会見で話す言葉にも力はなかった。

後半33分、FW大久保が右クロスを頭で合わせ10戦ぶりゴール。古巣からの貴重な先制点に「やっと仕留めることができた」。同点とされたが、ロスタイムにはDF桜内を投入し、最終ラインを5バックに変更した。勝ち点1を「守りきる」戦術も、意思統一したはずだった。MF山田は「気の緩みがあったとは思わないし、集中していた。負けた理由をつけるのが難しい」と悔やんだ。

プラン通りの戦いを演じながら「残り30秒」で天国から地獄の入り口へ。切り替えは簡単ではないが、8日にはJ1生き残りを懸けたラストマッチが待つ。MF中村は「『下からのチームがまくる』という絵を期待する人も多いと思うけど、J1の意地、ジュビロの意地を見せたい」。指揮官も「去年までなら3クラブが自動降格だった。今年のレギュレーションに助けられたと思って、必死になって戦いたい」と言った。決戦まで残り7日。試合後、チームは異例となる完全非公開での調整を決めた。J1残留を勝ち取る最善の準備を進める。【前田和哉】