浦和レッズの大槻毅新監督(46)が窮地から救った。先発5人を変更してアウェー川崎F戦(等々力)で初陣を迎え、後半ロスタイムのラストプレーで1-1に追いついた。

先月28日にオリベイラ前監督の契約解除に伴って正式昇格。3日間の非公開練習で攻守の連動性もオールバックの髪形も復活させ、昨春の暫定政権時代から公式戦7戦負けなし(4勝3分け)を継続した。

「組長」が浦和をよみがえらせた。大槻新監督が鋭い眼光でポケットに手を突っ込み、味方には鼓舞、相手には威圧となるよう指示を出す。1点を追う後半ロスタイム5分のラストプレー。気合がDF森脇に乗り移った。初陣でサブに回したが、試合前に「今日は(途中から)お前で試合を決めにいく」と伝えていた男の右足で追いつくと、真一文字の口で両拳を握った。

前監督更迭の引き金となった前節広島戦(0-4)から先発5人を変更。ヘッドコーチだった1月の沖縄合宿から評価していた大卒ルーキー岩武をJ1デビューさせ「出し切れ。(90分)持たなくていい」と燃え尽きさせた。3日連続の非公開練習では「全員がつながろう」と求めたという。攻守が分断されていたチームに距離感の修正、切り替え、奪いどころの意思統一をもたらし、何より球際で闘う姿勢を欲した。生まれ変わったような激しい守備で前半を0-0で折り返しても「それで満足か? 違うだろ。もっとできる!」と声にドスを利かせた。

代名詞のオールバックは封印宣言していたが、今年春夏のトレンド「王道ツーブロック×大人オールバック」に進化。DF槙野からジェルをもらって固めた。黒の背広も、衣替えに合わせて白の半袖シャツに。新たな顔で、新たな月。心機一転、連敗を4で止めた。

1点を失う直前の後半7分から、最初の交代カードとしてユース監督時代に育てた19歳MF荻原の投入を準備。興梠の負傷もあったが、24分には出番が7試合なかった杉本を起用して3枚を使い切った。後半は防戦でも諦めず「前後半で二面性はあったけど、この勝ち点1を次への大きな1歩にしたい」。暫定時代から7戦負けなしとした「大槻組」に率いられ、浦和が息を吹き返した。【木下淳】