今季のJリーグで活躍したチームや選手を表彰する年間表彰式の「Jリーグアウォーズ」が8日に都内で開催され、川崎フロンターレのMF田中碧(21)が新人王にあたるベストヤングプレーヤー賞に選出された。

過去に南野拓実、柴崎岳ら現日本代表の主力も受賞した名誉ある賞で、川崎Fからは意外にも初の選出となった。

今季は24試合に出場し1得点。攻守で川崎Fの中盤を支えた。田中は現在、E-1選手権の日本代表として韓国に遠征中のため、表彰式は欠席した。

田中にとってプロ3年目の今季は飛躍の年だった。MF大島僚太、守田英正ら層の厚い中盤で、今季は「ベンチ入れればいいな」と現実的な目標に掲げていた。だが、チャンスはいきなり訪れた。3月10日の横浜F・マリノス戦で、大島がウオーミングアップ中に負傷。キックオフ直前に先発が決まった。にもかかわらず、日本代表森保監督が視察したその試合で、開始直後に電光石火の縦パスでアシストした。試合は引き分けたが、ここから先発の座をつかみ快進撃が始まった。

川崎Fのユース育ち。高校時代にトップチームの練習に参加し、MF中村憲剛、大島僚太を見て「こういうパスを出したい」とあこがれた。そのあこがれの存在と、プロ入りして毎日、同じピッチで練習する環境が成長を後押しした。

試合に出始めたばかりのころは、試合中に大島から「どう?」と声をかけられ「自分のことで精いっぱいで、分かりません」と返答をしてしまったこともあるが、今は少しずつ、味方や敵の状況を冷静に見極める力もついてきた。

6月のトゥーロン国際大会で代表に選出され、10月にはU-22ブラジル代表との対戦で敵地で2得点と結果を残した。E-1選手権でA代表に選出されてもおごりはない。「僚太君(大島)の隣でやらせてもらって、あらためてうまいなと感じますし。安心感もあると同時に悔しいというか。自分にもまだまだやらないといけないことがあるなと感じる。まだまだ成長しないといけない」。常に「まだまだ」と、貪欲に上を見続ける姿勢で、東京五輪や日本代表へと羽ばたいていく。【岩田千代巳】