ガンバ大阪は3日、トゥールーズの元日本代表DF昌子源(27)が完全移籍で加入が決定したと発表した。背番号は3で、5日に入団会見が行われる。

今回の移籍は、G大阪にとっては、いくつもの幸運が重なって実現したといえる。通常は1月上旬や中旬のチーム始動日が、編成の締め切りの目安。同時期に行う新入団会見などで新戦力を披露する。遅くとも中旬以降に始まる春季キャンプまでに陣容を固め、開幕へと向かっていく。選手の年俸など人件費の予算組みも終わっている。

それが今回、昌子側からG大阪に逆オファーがあったのは1月下旬。既に沖縄キャンプが始まっていた。本来なら商談には遅すぎるが、G大阪は昌子のポジションであるセンターバック(CB)が昨年来の補強ポイントだった。今オフにも補強しきれずにシーズンに突入していた。

しかも主将で日本代表のCBでもあるDF三浦弦太(24)が欧州移籍を希望しており、早ければ今夏に途中退団する可能性がある。クラブとしてはリスクを管理する上で、三浦と同格か、それ以上の昌子側の売り込みは願ったりかなったりだった。

最近は故障などあったにせよ、18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会で活躍した昌子の実力があれば、市場に名前が出るのが年末年始であれば、Jリーグ各クラブによる争奪戦になっていた。それが年明け1月下旬になっての昌子の移籍志願で、獲得交渉ができたのは事実上、G大阪だけになっていた。

昌子側から売り込みを受けた、ヴィッセル神戸の関係者は「この時期だと、さすがに遅すぎる。しかも(人件費は)高い。仮に年内に話が来ていれば欲しい選手だった」と証言する。関係者によると、昌子の古巣鹿島アントラーズも同様の状況だったもようで、G大阪はマネーゲームのない状況で獲得交渉にあたれた。

関係者によると、トゥールーズと契約を2年半も残す昌子を獲得すれば違約金は推定2億円以上は必要だった。それがトゥールーズも1月末で欧州の移籍期間が終了し、戦力とみなしていない昌子で商談するには日本のクラブは最適だ。違約金は大幅減額され、最終的には1億円程度に落ち着いたという。

昌子を受け入れたG大阪宮本恒靖監督(42)は「実力は疑いの余地がない選手。我々の(G大阪)ジュニアユース出身というのも大きかった」と話した。宮本監督も下部組織出身で、いわば家族のようなつながりを感じても不思議ではない。

昌子獲得によって、先発から外れる選手、ベンチに入れない選手も生まれるが、連覇を達成した15年度の天皇杯以来のタイトルを狙うG大阪とすれば、最高のカンフル剤になるかもしれない。