ヴィッセル神戸のトルステン・フィンク監督(52)が15日、神戸市内での練習後、オンラインで取材対応した。先日、母国ドイツのメディアで「監督は、家族などの問題で今季限りで日本を去り、ドイツに戻る意向を持っている」と紹介されていたが、「記事だけを見ると大きな誤解がある」と真意を説明した。

「私が言ったのは、家族に長い間会えないので寂しいということ。そばにいてほしいという気持ち。向こうに帰りたいより、家族に会いたいということ。だが新型コロナウイルスで家族は来日できない。私は神戸と今季まで契約はるあし、その先も残るのであれば、家族に日本に引っ越ししてほしい。私は神戸が大好きで、サポーターもよくしてくれているし、クラブの未来像もある。今後も(日本での生活が)想像できている。みなさんがとらえたのは誤解だ。家族に会いたいという思いを伝えただけ」

フィンク監督は今年1月を最後に約8カ月間も、ミュンヘンに住む家族と会えていない。その問題がクリアされれば、来季も神戸で指揮を執ることは十分、選択肢にあることを明言した形だ。同監督は昨年途中で就任し、天皇杯でクラブ初タイトル獲得に尽力している。

また前節FC東京と引き分けた試合後の会見で「現実的には、リーグ優勝はないと思っているので、できるだけいい順位で終わり、クラブが希望している若手のレベルアップを目指したい」と、終戦宣言をしたことにも説明を加えた。

フィンク監督は「前節のコメントだが、現実的に見て神戸がリーグ優勝が難しいのは、みなさんもお分かりだと思う。そういった状況の中で、今後やるということを表現しただけ」とし、「選手にムダな重圧を与えるのもおかしいと思った。目の前の試合だけに集中する」と、あくまで1戦1戦に集中して「神戸の過去最高順位が、7位(16年の年間順位)だと知っているので、それより上に行きたい」と補足した。

神戸は16日に、現在5連勝中で2位のセレッソ大阪と本拠地ノエスタで戦う。今季最初の顔合わせとなった7月22日は、0-0の引き分けに終わっている。神戸の最近5試合は4分け1敗という低調が続き、首位川崎フロンターレとは勝ち点24差の11位で足踏みしている。【横田和幸】