「ニッカン・フットボール・アウォーズ」の第2回は守備編。名古屋グランパスは失点がリーグ最少の28点と堅守が光った。無失点試合はJ1最多に並ぶ17試合。新型コロナウイルスの影響による過密日程の中、GKランゲラック(32)DF丸山祐市(31)DF中谷進之介(24)がフルタイム出場を果たし、この3人はフル出場でチームが無失点だった個人完封数でも歴代最多記録を更新した。【構成=石川秀和】

<最少失点王>

今季の名古屋はJリーグ史上に残る鉄壁のディフェンスを構築した。失点は優勝した川崎Fの31点より少ない28点。J1が34試合制となった05年以降では4番目の少なさで、17完封は08年の大分と並ぶ最少記録。新型コロナウイルスに複数選手が感染するなどの苦難を乗り越え、3位で来季のACL出場権を獲得した。

その立役者となったのがフルタイム出場の3人の守備陣。GKランゲラックは好セーブを連発し、センターバック(CB)の丸山と中谷は相手の攻撃をことごとくはね返した。イタリア人のフィッカデンティ監督の下、延べ起用人数はリーグ最少の488人。選手交代枠の増加を最大限に活用して優勝した川崎F(最多539人)とは対照的だった。過密日程の中でも不動のメンバーで守備の連係を深め、中盤の底では全試合先発のMF稲垣がインターセプト数とボール奪取数でともに5傑入りした。

チームとして際立ったのが打たれた枠内シュートの少なさ。99本とリーグで唯一、100本を下回った。CBの2人が巧みに相手のシュートコースを消し、枠内に打たれたとしても最後は守護神が立ちはだかった。PKによる失点はリーグワーストだった昨季の8から今季は0。献上した2本のPKもランゲラックがストップした。

主将の丸山は「DFにとって失点が少ないのは本当にうれしい」と話し、小西社長は「名古屋城の石垣を築いてくれたような1年間だった」とコメント。来季は攻撃力にも磨きをかけ、11年ぶりのリーグタイトルと初のACL制覇を狙う。