日本サッカー、そしてキングの挑戦は続く。イングランド・サッカー協会からの銀製カップ寄贈を契機に1921年(大10)9月に大日本蹴球協会として創立された日本サッカー協会(JFA)が、10日に100年の節目を迎えた。千葉県内で式典が行われ、田嶋幸三会長(63)、元日本代表監督の岡田武史氏(65)、横浜FCのFWカズ(54、三浦知良)らが参加。カズはゴールの先に「ずっと挑戦というものがある」と宣言。果てしない道を歩み、歴史を刻んでいく。

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カウンター1発の戦術はいつしか、パスサッカーが時代をつくった。現代サッカーでは「アスリート型」と言われるようになった。スピード、フィジカルにたけた選手が重宝され、1人で複数ポジションをこなすことが当たり前となった。現役Jリーガーで唯一、JFAの100年を祝う式典に登壇したカズは「改めてこの先、101年目、未来をつくっていけることを光栄に思ってます」と言った。

サッカー史は、刻々と変化の跡をたどってきた。ブラジルにサッカー留学し、イタリア、クロアチアと世界に触れたカズは、その流れを見てきた。「100年前と50年前、僕がブラジルから帰ってきた30年前では当然、全てのことが変わってきている。日本におけるサッカーの価値観とか明らかに30年前から進化してますし、同時に世界も進化してる。まだ世界のトップに追いつくには時間がかかると思うし、努力も必要」と日本サッカー界のレベルアップを願った。

時を経ても、カズの情熱は色あせない。ピシッと決めた黒のスーツも、いつも通り。司会者から「カズはどうしてカズで在り続けられるんですか?」と問われると「サッカーが大好きだと、サッカーで楽しみたいと、原点はそこじゃないですかね」と胸を張った。「とにかくJリーグに出場してゴールを決めて勝利に貢献したい。みんなの前でゴールできるようあきらめず、チャンスが来た時にそれが出来るよう、毎日、トレーニングして準備したいと思います」。54歳。J最年長得点記録は、世界中が期待する。その先にあるものとは-。

カズ ずっと挑戦というものがあるんじゃないですかね。たとえゴールしたとしても、次の目標ができるでしょうし、そこで満足することはない。人生の中では、ずっと挑戦が続くんじゃないかなと思います。

日本サッカーの歴史はこれからも続く。カズが歩む道も、果てしなく続きそうだ。【栗田尚樹】

〇…日刊スポーツ評論家のセルジオ越後氏も、式典に参加した。辛口評論で知られる同氏だけに、W杯アジア最終予選でも地上波放送がなくなるなどサッカーの露出の低下を指摘。今夏の東京五輪で話題となったスケートボードなどを挙げながら「子供は、はやりのものにいく。負けちゃいけない。本当のファミリーやファンを作ることが次の100年で必要」と、国内のサッカー人気低下に危機感を募らせた。

▽佐々木則夫・なでしこジャパン元監督 女子サッカーも後世まで伸ばしていきたい。WEリーグがスタートして、下部組織も構築し、なでしこにいい形で導いて世界トップを目指していくことが大事。

▽川淵三郎初代Jリーグチェアマン 100年のうち85年は生きていたのかと。サッカー界の歴史とともに歩んできた。もう一段、国民の皆さまにスポーツの素晴らしさを伝えていきたい。

▽ラモス瑠偉・ビーチサッカー日本代表元監督 少しでも歴史の中で貢献したことをうれしく思う。日本のおかげで家族も助けられたし自分も成長した。(A代表について)みんな海外に出てたくましくなっている。

▽元日本代表・奥寺康彦氏 (日本代表に向けて)強いチームやいい選手がいると、みんながそこに向かっていく。W杯で4強にいけるように、少しでも近づいているところが見えると、関心度も高まる。

▽元日本代表・釜本邦茂氏 いろんな方と、懐かしいなと思いながらお会いした。77歳になってもまだ(指導者として)サッカーをやれている。足が動かなくなるまでやりたいと思っている。