横浜FCの元日本代表FWカズ(三浦知良、54)が12日、自主トレを開始した大阪府内で自身の去就について初めて激白した。来季J2降格の横浜FCを退団する可能性が高く、JFL鈴鹿と高知から正式オファーを受けたカズは「幸せなサッカー人生」と感謝し、移籍先の条件は「カテゴリーは関係ない」「ビジョンがあるチーム」などと明言。55歳を迎える来季へ、情熱は衰えを知らない。

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師走の大阪で早くも22年へのスタートを切った。約1時間半の自主トレ初日を終えたカズは、今季2度目の囲み取材で胸中を激白した。去就について公式に語るのは今季初めてだ。

「自分の年齢は言いたくないが、ありがたいことに何チームかが僕を必要としてくれている。サッカー選手冥利(みょうり)に尽きる。横浜FCがJ1残留に試合に出て協力することができない僕に対して、まだオファーをしてくれる。幸せなサッカー人生を送っているなと思う」

17年在籍した横浜FCでは今季、J1でわずか1試合(1分)の出場に終わった。それでも残留の要請を受けた。残留の可能性はあるものの、Jリーグ4部相当に位置するJFLの鈴鹿と高知からも正式オファーを受けた。非公式な打診を含めれば、その数はさらに増えるとみられる。移籍先の条件を聞かれると、熱を帯びた言葉になった。

「僕は自分が求められる、必要としてくれるチームがあれば、カテゴリーは関係なく行く、というのは10年前から言っている。それは変わりない。自分の情熱が続くのであれば当然受けたい。今も情熱はある」

ただし、さらなる条件もある。新天地に確固たる方向性があるのか。それに賛同できれば、たとえJFLの1つ下、地域リーグへも行くと断言した。

「地域リーグからJFLに上がりたいのか、JFLからJ3なのか、J3からJ2、J2からJ1に上がりたいとか。そういう目標がある方が、やはりいいですね。ただ『来て』じゃだめだと思う。クラブのビジョンがしっかりしている方がいい」

4日の今季全日程終了後、完全休養していた。この日の練習後は「1週間休んだだけで、これだけ衰えるのだから、継続してやんないと」と笑わせた。10日間を予定する大阪合宿中、場合によっては移籍交渉の席につく可能性もある。結論の期限は「何もない」というカズは「早く決めたい」と本音ももらす。プロ37年目へ、大きな決断に迫られている。【横田和幸】

◆日本サッカーのカテゴリー(構成) Jリーグ(J1、J2、J3)のプロを頂点に、その下にアマチュアのJFL、地域リーグと続く。JFLにもプロ契約選手は存在するが、一握り。大半は一般の仕事と掛け持ちし、午後から練習という形態が多い。鈴鹿と高知はともにJリーグ参入を目指している。

○…カズの自主トレは当初、横浜FCのDF伊野波ら3人で行う予定だった。だが関係者を通じ、地元G大阪のDF三浦、MF小野瀬、井手口らが参加。スタッフを含めると10人以上のにぎやかな練習になった。井手口はセルティック移籍が目前で、海外経験の豊富なカズに積極的に話しかけるなどしていた。