前橋育英(群馬)は鹿島学園(茨城)に競り勝った。

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初戦で敗れた兄のため、負傷した先輩のため、前橋育英の高足が左足に万感の思いを込めた。1-1の後半39分、右クロスのこぼれ球に逆サイドで素早く反応。押し込んで決勝点を決めた。「こぼれてくるかなと。ひと安心しています」。2人の思いを背負って、大仕事をやってのけた。

前半終了間際、初戦ハットトリックのエースFW守屋が負傷し、ウオーミングアップする間もなくピッチに送り出された。「中1のときから『予測しろ』と言われてきた」。158センチの小柄な体格をカバーする“予測力”が武器。後半17分には右クロスをダイビングヘッドで仕留めた。「3年生にはお世話になった。恩返しの気持ちで、自分が決めて勝ってやると思った」と感謝を込めた。

1つ上の兄龍が、小学1年生でサッカーを始めた。練習を見て「楽しそう」と弟善も続いた。「兄は小さい頃からライバルであり、憧れであり、尊敬できる存在」。172センチの龍は流通経大柏へ進学したが、「縦に速いサッカーは自分の身長には向いていない」と、善はパスサッカーの前橋育英を選んだ。勝ち進めば準決勝で対戦だったが、兄は12月29日の初戦で敗れて、兄弟対決は実現しなかった。

その夜、LINE(ライン)で決意を伝えた。「龍のためにも優勝してくる」。この日応援に来られなかった兄からは、「次は見に行くから、点取ってね」と激励を受けた。「次はもっと厳しい戦いになる。点を決めてチームを救える選手になりたい」。たくさんの思いを背負い、4年ぶりの頂点を目指す。【杉山理紗】

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