新生鳥栖が1-0で天皇杯覇者、浦和を下して今季初勝利。開幕から4戦負けなしで5位に浮上した。経営再建中で予算も少ない中で大量20人が新たに加入。メンバー一新で不安視もされたが、浦和戦は途中交代を含め9人の新戦力が躍動。けがから復帰した期限付き移籍の新加入FW垣田裕暉(24)の移籍後初得点が決勝点となった。経営危機やパワハラ問題による監督交代もあり、昨季の主力は大量流出したが、新メンバーで踏ん張っている。

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鳥栖が新加入のホットラインでタレント軍団の浦和から今季初勝利を奪った。鹿島から期限付き移籍のFW垣田が移籍後初ゴールで貢献した。

0-0で迎えた後半26分。同じく新加入でトップ下のMF堀米からの左クロスに「米君が持った瞬間、クロスが来ると感じた」と、待ち構えたゴール前で瞬時に反応。立った状態から後ろに下がりながらの難しいヘディングだったが、気合で押し込んだ。けがの影響から3戦ぶりのリーグ戦で「戦う姿勢や気持ちを見せ、チームのために鳥栖のエンブレムのために戦いたい」と燃えた。昨季徳島で8得点。チームは違えど、ゴールへの嗅覚は抜群だった。

経営再建中の影響もあり、主力が大量に流出。今季の新加入選手は大量20人と、昨季7位に奮闘したチームの面影はない。開幕前は降格候補にも挙げられた。浦和戦はベンチ入りメンバー18人中12人が大卒ルーキーを含む新戦力だった。だが、途中出場を含め9人が天皇杯王者に躍動。DF田代は「3試合の積み上げが勝ち点につながった」。選手の新旧融合が試合を重ねるごとにかみ合ってきた。

“新生鳥栖”だが、J1初采配の川井健太監督(40)も初勝利に手応えを感じている。「いろいろなキャラクターを使いこなせるようになってきた。相手との兼ね合いもあるが、選択肢が多くなってきつつある」。この日も後半18分に「(後半)アグレッシブに来る浦和のスキを突く意図があった。押し込まれても打開できる」と、ボールをキープできる垣田を投入する好采配が的中した。

Jリーグから「パワハラ認定」を受けた金明輝前監督の後を受け、J1初采配の大任を任せられた新指揮官、そして経営危機に揺れてクラブにとって、失った信頼を取り戻すための大きな1歩となった。【菊川光一】