セレッソ大阪は14日、ベンチの采配などに不満を示し、6日から謹慎処分中の元日本代表MF乾貴士(33)について、今後6試合の出場停止処分を発表した。17日のJ1リーグ・アビスパ福岡戦から、5月14日名古屋グランパス戦までが対象。

謹慎処分中に欠場した2試合を含めると、事実上、計8試合の出場停止処分になり、クラブ史上前例のない、厳罰が科されたことになる。

問題は5日のJ1柏レイソル戦(ヨドコウ)で起きた。先発した乾が、0-1で迎えた後半17分に途中交代を命じられ、ベンチに戻った際、小菊監督らの手を払いのけ、交代に対する不満の態度を示した。

クラブはこの日の発表で「交代を命じられた際に、サポーターの前で暴言を吐くなど不服な態度を示した。また、試合後にチーム規律・秩序を乱す行動が確認されたため」とし「クラブでは今回の行為を深刻に受け止め、再発防止に向けて選手への指導を徹底してまいります」とコメントした。

乾は既に、6日から練習場への立ち入りも禁じられる謹慎処分となり、10日のJ1ヴィッセル神戸戦と、13日のルヴァン杯鹿島アントラーズ戦でベンチ外になっていた。

練習場への入場はこの日から許可されるものの、最後の出場停止となる5月14日名古屋戦までの約1カ月間、全体練習への参加は許されないという。乾は個人練習で再出発を図るしかない状況だ。

13日に取材に応じた森島寛晃社長(49)は「規律(違反)のところで重く受け止めており、判断しないといけない」とコメント。乾との面談で「本人は反省している」とも説明していた。

乾は11年5月にも、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のガンバ大阪戦で、前半だけで交代を命じられ、ハーフタイムに控室で激高。当時のレビークルピ監督が激怒し、公式戦4試合の出場停止を含んだ謹慎処分(クラブの公式発表はなし)を受けている。2度目の今回はさらに厳罰となった。

滋賀・近江八幡市生まれの乾は、横浜Fマリノスを経て08年6月に当時J2のC大阪入り。その後はスペイン1部エイバルなどでプレーし、日本代表では18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会で2得点を挙げる大活躍。昨年8月に古巣復帰し、今季からクラブのエース背番号8をつけ、副主将にも就任。仲間の模範となる立場だった。

 

【C大阪乾の経緯】

▼4月5日 J1柏戦の途中交代で暴言

▼4月10日 クラブは6日から当面の謹慎処分を科したことを公表。練習場への立ち入りも禁止し、この日のJ1神戸戦はベンチ外に。

▼4月13日 森島社長が「規律(違反)を重く受け止めている」。この日のルヴァン杯鹿島戦もベンチ外に。

▼4月14日 最終処分発表。今後公式戦6試合の出場停止が決まり、この日から練習場への立ち入りは許可も、全体練習へは引き続き参加禁止に。

 

◆乾貴士(いぬい・たかし)1988年(昭63)6月2日、滋賀県生まれ。野洲2年時に全国高校選手権優勝。横浜を経て08年6月に当時J2のC大阪へ。11年8月にボーフムに渡り、その後はスペイン1部エイバルなどに所属し、21年8月にC大阪復帰。国際Aマッチ通算36試合6得点、J1通算67試合13得点。169センチ、63キロ。