ベガルタ仙台が今季最多5発でJ2通算200勝を達成し、暫定2位に浮上した。19位いわてグルージャ盛岡との東北ダービーを5-1で快勝。ここ5戦無敗(3勝2分け)とした。

1-1の後半19分に途中出場のMF名倉巧(24)が勝ち越し弾。同時に投入されたFW富樫敬真(28)も2ゴールを奪うなど、後半の4得点で岩手を粉砕した。リーグトップの得点数を「53」に更新し、複数得点試合も「17」に伸ばした。

名倉がスリップしながら巧みにミドルを突き刺した。投入から2分後の後半19分、右サイドバックのDF真瀬拓海(24)のパスを受け、迷わず右足を振った。「シュートを打とうじゃなくて、気づいたら中も見ずに振り抜いていた」とボールはゴール右に吸い込まれた。足を滑らせたのは計算外で「みんなからはクロスと言われる」としたが、勝ち越しの今季4点目。「ボールの軌道を見たら、めちゃくちゃいいところにいって、ラッキーだというのもあります」と振り返った。

名倉の姉七海さん(27)は14年のエアギター世界選手権で日本人女性初、史上最年少の19歳で優勝。18年に2度目の頂点に立った。それを知ったDF蜂須賀孝治(31)から「次、決めたらあれをやってよ」と言われ、エアギターパフォーマンスで喜びをかみしめた。

仙台は99年3月28日のアウェー甲府戦でJ2初勝利し、06年6月3日のホーム徳島戦でJ2通算100勝をマークした。原崎政人監督(47)はJ2での200勝に「実感はわかないが、今までの歴史を更新していくこと、上積みしていかなければならない使命感を感じた」と話した。

次戦は23日にホームで長崎と対戦する。名倉は同チームから期限付き移籍中で出場できないが、今後に向けて「チームを救えるゴールを決めていきたい」と量産宣言。悲願の昇格へ背番号「28」が勝利をもたらす存在になる。【山田愛斗】

■ペナルティ・ヒデがスタジアムDJ

高校サッカーの名門・市船橋(千葉)出身で全国選手権準優勝と全国総体優勝経験のある、お笑いコンビ、ペナルティのヒデ(51)が来場した。スタジアムDJとして選手を紹介したほか、トークショーも行った。ヒデは「願わくば両チームとも早く上のカテゴリーに行ってもらいたい」とエール。また東北対決に「ダービーに順位は関係ない。ただプライドです」と熱く語った。高校後輩の仙台DF真瀬が先発し、3点目のミドルを流し込んだ。「ヒデさんが自分を知っているか分からないが、決められて良かった」と話した。