黒田総監督と正木監督を胴上げする! 全国高校サッカー選手権の前回王者で2連覇に挑む青森山田が31日、初戦で広島皆実と対戦する。

今大会限りでチームを離れ、J2町田監督に転身する黒田剛総監督(52)は、10月に就任した教え子の正木昌宣新監督(41)をベンチから支える。00、01年度の国見(長崎)以来となる連覇に向けて、主将のDF多久島良紀(3年)は「再び青森県に優勝旗を持って帰れるように頑張ります」と意気込む。

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青森山田は一丸でてっぺんを目指す。県内公式戦は無敵の393連勝。全国選手権は26大会連続28度目出場で、18年度優勝、19年度準優勝、20年度準優勝、21年度優勝と直近4大会連続で決勝進出している。優勝を掲げるライバル校の合言葉は「打倒山田」。それを絶対に阻止しなければならない理由がある。95年から監督を務め、常勝軍団を築いた黒田総監督が最後の選手権となり、ヘッドコーチから昇格した正木監督は指揮官として臨む初の選手権。多久島主将は言う。

「山田のベースをピッチ上で表現しながら、黒田監督と正木監督を2人とも胴上げできるように、1戦1戦、戦いたいと思います」

昨季はJ1東京MF松木玖生(19)、J2町田MF宇野禅斗(19)、明大MF藤森颯太(1年)ら強力なタレントを擁して、全国総体、プレミアリーグEAST、全国選手権の「高校3冠」を達成した。今季は同総体連覇を逃したが、同リーグで高体連(部活)最高の4位に入った。1位川崎F・U-18、2位横浜ユース、3位大宮U18、同総体王者で6位前橋育英(群馬)とも1勝1敗。同じ相手に1度も連敗しなかった。

選手権2連覇に向けて好スタートを切る。2年時から主力の多久島主将、背番号「10」を背負うFW小湊絆(つな、3年)ら中心のチーム力をベースに、伝統のロングスローを軸にしたセットプレーからの得点力は健在。強固な守備から攻撃に転じていく。

エースは自信満々だ。小湊は「自分はFWなので、目に見えるゴールという結果を追い求めたい」。前回大会の5試合計59分で3得点した実力を証明する。

「ころっと負けたら『絶対に監督が代わったから』と言われるので、それは黒田監督、正木さんにも申し訳ないですし、チームを勝たせるのは選手たち自身にしかできないこと。2人を勝たせたいなと思います」

正木監督率いる常勝軍団の第2章が幕を開ける。【山田愛斗】

▽青森山田・正木昌宣監督(全国選手権初采配に向けて)「監督交代という選手たちにとっては大きい出来事がありましたが、選手のためにやるというのはコーチでも監督でも変わらないので、選手が本当に全力でプレーできるようにサポートしたいと考えています」