J1内定者2人を擁する技巧派集団の昌平(埼玉)が近江(滋賀)を下し、3回戦へ駒を進めた。スコア以上に苦しい展開だった。5バックの近江のプレスとアグレッシブにつなぐサッカーに苦戦。後半10分、MF篠田翼(3年)の左足ミドル弾でゴールをこじ開けたが後半21分に失点。そのまま1-1が続き、PK戦がちらついた。

しかし、昌平はしたたかだった。後半34分。近江のMFが負傷でピッチの外に出て10人になったスキを見逃さなかった。縦に早い攻撃を仕かけ、篠田のスルーパスに途中出場のFW伊藤風河(3年)が右足でネットを揺らし勝ち越し。ロスタイムにも、篠田がこの日2点目を決め、近江を振り切った。

2得点1アシストの篠田は「利き足は右ですが、右が警戒されていた。左だとフリーで打てたので。4月から左足でのシュートも練習してきた。練習の成果が出て良かった」と笑みをこぼした。

篠田は「全国男」だ。1年生で出た全国高校選手権でも得点を挙げ、今夏の全国高校総体でも4得点。「全国大会になると点が取れる。自分の中で、取りたい、と思っていると固くなる。今大会は、チームのために頑張って、点が取れるところは取る意識で。得点王も狙いたいけど、まずはチームが勝つことが最優先。そっちを意識にしている」と振り返った。

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会での日本代表MF三笘薫のプレーも刺激を受けた。相手の逆を取る動きを「参考にしないといけない」と考え、初戦直前の29日に、鹿島アントラーズ内定のDF津久井佳祐(3年)を相手に、1歩で相手の逆を取るドリブルを特訓したという。練習では津久井を相手に1回しか成功しなかったが「本番でできて、練習が生きた。短い練習でしたけど、引き出しは増やせたかな」と手応えを口にする。

1月2日の3回戦で、夏の王者の前橋育英(群馬)と対戦する。技術を武器に、真っ向勝負で立ち向かう覚悟だ。