ゴールデンウイーク真っただ中の3日、J1リーグ第11節でガンバとセレッソによる公式戦通算60度目の大阪ダービーが、G大阪の本拠地パナスタで開催される。キックオフは午後2時。

ともに前節はダメージの残る黒星を喫しており、3万人以上の観客動員が見込まれる大一番で、傷心の両軍がいかに戦うか。最近のダービーは、公式戦12試合でC大阪が7勝4分け1敗と圧倒。リーグ戦は3連勝中だ。決戦を前に両軍の置かれた状況を探った。

 

【G大阪】

前節4月29日のアウェー鹿島戦は、早くも今季3度目の4失点で惨敗した。新たにスペイン人のポヤトス監督を迎え、開幕から1勝4分け5敗で17位に沈む。

この10試合終了時点の数字は、途中解任となった21年の宮本監督とまったく同じ。当時は11戦目から松波監督に指揮を委ねた。

今季はクラブワーストに並ぶ開幕7戦目、4月9日川崎F戦でようやく初勝利を挙げた。その直前のルヴァン杯東京戦を含めて、目指しているボールを支配した上で、多彩なアイデアを駆使した攻撃をほぼ完璧に披露した。

これで波に乗るかと思われたが、選手個々のミスで勝ち点を失う傾向が止まらない。4月15日京都戦は自陣でのボール喪失から決勝点を献上、同23日の最下位横浜FC戦は追いつかれての痛恨ドロー。鹿島戦は中盤を支配したものの得点できず、淡泊な失点を繰り返した。

3月26日のルヴァン杯で初めて大阪ダービーを経験したポヤトス監督。その際はFW食野の後半終了間際のゴールで、1-1の引き分けに持ち込んだ。リーグ戦では初の大一番へ、指揮官は「しっかり準備をして、ミスを改善していかないといけない」と話す。勝てばリーグ戦では19年5月18日以来、8試合ぶりになる。

 

【C大阪】かつて苦手としたG大阪戦は、ロティーナ監督時代の19年9月28日、リーグ戦の勝利を境に逆転した。その日から公式戦12試合で7勝4分け1敗と圧倒。アウェーでは5連勝後、今季はルヴァン杯で引き分けたが、6戦不敗と好相性が続く。

ただ今回は、2連勝で迎えた直近の4月29日広島戦でショッキングな敗戦を喫した。昨年は公式戦4戦全敗の天敵に歯が立たず、この試合を含め、広島には3戦連続で後半ロスタイムに決勝点を与えるという、心が折れても不思議ではない結末だった。精神的な傷を払拭(ふっしょく)できるかがカギになる。

昨季は5位に躍進し、今季はここまで4勝2分け4敗で8位につけ、成績自体は悪くはない。今季途中から採用した4-3-3システムや、先発もここ2試合は固定。試行錯誤を重ねているが、優勝争いに絡むためにも、そろそろ大型連勝が欲しい。

21年8月から就任の小菊監督は「今後を左右する大一番。心身とも回復して向かいたい」と決意している。

 

【大阪ダービー】

Jリーグには元年の93年からG大阪は参加し、C大阪は95年から。他の試合に比べて勝てば絶賛され、負ければ何倍もの批判を浴びる。当事者には相当の重圧がのしかかる。

両者は95年5月3日、長居2で初対戦し、1-0でC大阪が勝利。公式戦通算59試合でG大阪から見ると27勝12分け20敗、リーグ戦は23勝7分け14敗、ルヴァン杯は3勝5分け3敗、天皇杯は1勝2敗、ACLは1敗。

03年以降は、MF遠藤を中心としたG大阪がリーグ戦で7連勝するなど宿敵を寄せ付けない時代があった。19年9月以降は、逆にC大阪がリーグ戦は5勝2分けと圧倒し続け、現在は3連勝中。

両者の対決は、その時の順位は参考にならないといわれ、誇りを懸けた真っ向勝負になる。0-0の引き分けは過去59試合で、22年4月23日のルヴァン杯1次リーグの1試合しかない。

今回の対戦で、G大阪FW宇佐美とC大阪MF香川の両カリスマが直接対決する可能性が高い。実現すれば日本では初めて。

10年3月14日(長居)のリーグ戦で当時21歳の香川は先発し、17歳の宇佐美はベンチ入りも出場機会がなかった。今年3月のルヴァン杯では香川は先発も、宇佐美はけがの影響でベンチ外だった。2人はドイツ時代には対戦している。

開幕前の宇佐美は、香川との対戦について「楽しみですね」と語っていた。香川は広島戦後、今回のダービーへ「特別な思いはない」と前置きしながら「この1勝の意味は(のちに)大きくなってくる」と話している。