30周年を迎えたJリーグの成功の源は、その身近さにある。
セレッソ大阪-アルビレックス新潟の今季開幕戦を取材した際、新潟MF伊藤涼太郎(25)は感動していた。雲の上だった選手と、ついに対戦が実現したからだ。
「当時の僕らは、同じグラウンドで練習をしていて、サインをもらったことがあるんです」
サインをねだった相手とは今季、12年半ぶりにJリーグ、C大阪に復帰したMF香川真司(34)。C大阪ジュニアユースに所属していた伊藤が、練習していた大阪市西成区南津守の練習場は、C大阪のトップチームも拠点にしていた。そこに当時21歳の香川がいた。
Jリーグにはアカデミーと呼ばれる下部組織があり、小学生でもプロを身近に感じられる。仮に下部組織に入れなくても、イベントなどで選手と触れ合う機会はある。
10クラブで始まったJリーグは今、J1、J2、J3で計60クラブに広がった。伊藤のようにプロから刺激を受け、プロになった選手は、日本の各地に多くいる。これがJリーグを年々、レベルアップさせている根っこの部分だと思う。
93年から取材する記者にとっても、敷居が低いJリーグは親近感がある。90年代は特に取材制限は少なく、クラブによっては選手の結婚式や契約更改も取材ができた。今でこそ、新型コロナの影響で取材規制は一部残るものの、記者の知る限りは各クラブ、選手の取材への協力は前向きだ。
香川は先日、Jリーグ30周年について言及した。
「逆に言えば、まだ30年なんでね。日本のこの30年は濃いが、僕たちはもっと、歴史を積み重ねていかないといけない。もっとレベルアップするためには、危機感の方が強い」
核心を突いたレジェンドの言葉だけでなく、Jリーグの魅力や問題点も、我々記者が伝えていければいいと思う。【横田和幸】



