セレッソ大阪FW北野颯太(18)が、首位ヴィッセル神戸を2-1で撃破する劇的なJ1初ゴールを挙げた。1次リーグで敗退したU-20W杯から戻ったプロ2年目は、後半ロスタイムに決勝点となる待望の1発を記録。本拠ヨドコウの過去最多となる2万2542人の観客の前で“阪神ダービー”勝利に導いた。勝ち点29に伸ばしたC大阪は暫定5位に浮上し、神戸は2位に陥落した。

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C大阪の未来を担う18歳が、神戸を破る値千金のJ1初得点を挙げた。ドロー濃厚の後半48分、敵陣で相手GK前川が処理を誤る瞬間、途中出場の北野が抜けだし、左足で放ったミドルシュートが無人のゴールに入った。

「ゴールが見えたので流し込むだけだった。歓声が聞こえたので、入ったかなと思った。最高の舞台で決めることができた」

5月のU-20W杯アルゼンチン大会では1次リーグで敗退し、3戦無得点の北野も傷心の状態でC大阪に復帰。7日の天皇杯2回戦で2得点したが、この日に向けて「昨夜、寝る前に得点のイメージをしていた」という。

ユース所属で高校3年だった昨季、飛び級でプロ契約を結び、3得点したルヴァン杯ではニューヒーロー賞に輝いた。それでもJ1は19試合無得点、今季もここまで3試合不発。「小菊さん(監督)の期待に応えたかった」と話す18歳は「家族のみんなも、応援してくれていたから…」と言葉を詰まらせた。

自宅は和歌山・有田市にあるが、C大阪ジュニアユース(U-15)に入団する北野のため、6年前から母久美子さん(48)が大阪市内で同居してくれた。この日は母と兄竣介さん(21)の目の前でゴールを贈ることができた。

「両親への感謝はもちろん、特に母には苦労をかけてきた」という北野。父匡崇(まさたか)さん(47)を含め、ようやく家族孝行ができた。

「最後にボールがこぼれて来たのも、彼の実力」とMF香川。C大阪の下部組織からはFW南野拓実(モナコ)以来という潜在能力の持ち主が、最高の舞台で男になった。【横田和幸】

◆北野颯太(きたの・そうた)2004年(平16)年8月13日、和歌山・有田市生まれ。小4からC大阪U-12のエリートクラスに入り、U-15、U-18に昇格。高1時の20年10月25日にJ3G大阪戦でクラブ史上最年少16歳2カ月で公式戦出場。各年代で日本代表入りし、J1通算23試合1得点。172センチ、60キロ。

○…劇的弾を挙げた北野から抱きつかれたC大阪の小菊監督は、会見で「気持ちが乗り移ったゴール。結果を出す確信はあった」と教え子の活躍を喜んだ。この日は、滝川二時代の1学年後輩の神戸吉田監督との初対決で、互いに譲らない展開だった。最後に執念星をつかんで「喜び、感謝、いろんな気持ちがある」と同門対決を振り返った。

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