東京ヴェルディが2008年以来、16年ぶりのJ1復帰を決めた。国立競技場で行われた昇格プレーオフ決勝で、清水エスパルスと対戦。後半18分にMF森田晃樹主将(23)が献上したPKで0-1とリードを許したが、ロスタイムにFW染野唯月(22)がPKを獲得し、同点ゴールを蹴り込んだ。93年のJリーグ開幕年から参戦する同じ「オリジナル10」同士の一戦に、5万人超の観衆が詰めかけた。Jリーグ開幕当初の黄金期のラモス瑠偉、武田修宏らも観戦。カズ(三浦知良)もポルトガルで中継を見守り歓喜した。

東京Vに関わるすべての人々にとって待ちに待った瞬間だ。染野のPKで1-1に追いついた数分後、試合終了の笛がなると5万人超で膨れ上がったスタジアムの緑に染まったサポーターから地鳴りのような歓喜の雄たけびが響いた。PKを献上していた森田主将はホッとした様子で涙を流し、ピッチに倒れ込んだ。

リーグの最終順位が上位のため、引き分けでも昇格だったが、今季唯一シーズン2敗を喫していた清水に前半から押し込まれた。後半18分には森田主将のハンドで先制PKを与えた。絶体絶命のロスタイム。右MF中原からの浮き球のスルーパスを受けた染野がペナルティーエリア内で倒された。キッカーは決まっていなかったが染野はすぐにボールを持つと「今までで1番緊張した」という同点PKをゴール右へねじ込んだ。城福監督は試合後、涙しながら「(昨季途中就任の)私が言うのもなんですが、長らくお待たせしました」とスタンドへ絶叫した。

カズやラモスを中心に圧倒的な強さと人気を誇ったJリーグ初代王者も98年に読売新聞社が経営から撤退。00年代以降はスターの流出と経営難の負のスパイラルで2度のJ2落ち。08年を最後にJ1の舞台から遠ざかった。

J2でも苦闘が続いた。昨季途中から城福監督が就任。昨季は6連勝で締めくくったが、オフに主力7人が移籍した。優秀な下部組織がありながら毎年のように“草刈り場”となり、今季開幕直前まで森田主将ですらJ1クラブへ移る可能性があった。それを残留へ口説いたのが城福監督。意気に感じた森田も「ヴェルディをJ1に上げた男になりたい」と獅子奮迅の働きを見せた。城福監督は「格闘して、もがいて、最後に彼(森田)と勝ち取れた。言葉では表せないもの(喜び)がある」と話した。

今季は同監督のもと「今までよりスパイク1足分寄せる」粘り強い守備が徹底され、リーグ最少失点(31点)を記録。さらに指揮官が生み出した「リカバリーパワー」という言葉で、仲間同士が支え合う重要性を再確認した。

来年はJ1に東京V、東京、町田の3クラブが集まる。東京Vと東京は今年の天皇杯3回戦で対戦。平日の味スタを2万人近くが埋めるダービー戦に「この対決をJ1でも」というファンは多かった。森田主将は「1年で落ちたら意味がない。優勝するくらいの目標をかかげないと」。16年ぶりのJ1で、名門が台風の目となる。【千葉修宏】

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