堀越(東京A)が佐賀東に2-1で競り勝ち、初の4強進出を遂げた。今夏、日本代表MF久保建英らのパーソナルコーチを務める中西哲生氏(54)から臨時指導を受け、今大会1失点とアグレッシブな守備を構築。6度目の出場で悲願の国立切符をつかんだ。

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堀越が、新しい景色への扉を開いた。前半19分、主将MF中村の美しい左足ミドルで先制。後半は耐える時間が長くなったものの、MF仲谷が27分に数少ないチャンスを決めてリードを2点に広げる。悲願だった国立切符をつかみ取った。

これまでは、昨秋の杭州アジア大会(中国)U-22日本代表のMF日野翔太(拓大=鳥栖内定)を擁した3大会前の8強が最高だった。47歳の佐藤実監督は「正直ここまで来られるとは…。実感が湧かない」。続けて「高校サッカーの監督をやっている以上、夢は国立」と言い、胸にしまっていた12年前の行動を初めて明かした。本籍を自由に選べることを知り、在住の東京・八王子から新宿区の国立の所在地に移していた。「生きている間に行けたらと思っていたけど…。本籍地に帰れます」と笑った。

夢への取り組みは現実的だった。選手主体で練習メニューや方向性を決める「ボトムアップ方式」が堀越スタイル。佐藤監督は「第2の日野を育てたい」と今夏、久保らを指導する中西氏を1日臨時コーチに招いた。夏以降、直伝の「止める・蹴る」メニューを授かって技術が向上。大会前は「守備時の体の使い方」「ネガティブトランジション(失った後の切り替え)」の指導を受けた。開幕後も元日と3日に来てもらい「落ち着いてやれば問題ない。絶対にできるから」と自信を植え付けられていた。

DF竹内は、大会前に居残りでサイドの守備を教わった。「ドリブルで仕掛けてくる相手に、どう体を使って対応するか。今まで感覚でやっていたことが言語化されて自信につながった」と感謝する。攻守の切り替えでは「ボールを失ってから7秒は全力で回収する」との約束事を徹底。今大会は4試合で1失点と堅守が光る。「今日も、切り替えの速さで奪い返せた場面があった」と竹内。ボトムアップ方式×中西メソッドでたどり着いた国立。新たな景色の先にある扉も、開けにゆく。【岩田千代巳】