「Be Pirates!(海賊になれ!)」をチームスローガンとする琵琶湖の暴れん坊、近江(滋賀)が3度目の出場にして初の決勝進出を果たした。堀越(東京A)に3-1で快勝した。

滋賀県勢の決勝進出は、2005年(平17)度の第84回大会で初優勝した野洲以来、18大会ぶり。2年生だったMF乾貴士を擁し、「セクシーフットボール」と例えられた人とボールが連動する美しいサッカーで、決勝では鹿児島実を延長戦の末に2-1と下し、優勝を飾っている。

4強初進出同士の対戦となった堀越戦は、前半からドリブルとパスを絡めた多彩な攻撃を展開。ゴールラッシュとなった。

前半11分、ゴール前右サイドにこぼれたボールを拾ったMF鵜戸瑛士(3年)が右足でゴール左隅へ決めて先制した。鵜戸は準々決勝の神村学園(鹿児島)戦でも決勝点を含む2ゴール。絶好調男の一発で、チームに弾みがついた。

2分後にも再び堀越ゴール前へ押し込むと、ゴール前のこぼれ球をMF山門立侑(3年)が右足で蹴り込み2-0とした。

勢いづいた海賊集団は前半22分、ゴール前でパスを受けたDF金山耀太主将(3年)が右足でゴール左へ正確にシュートを決め、一方的な展開。勝負は前半でついた。

後半は無得点だったが、自在な攻撃で見せ場を次々とつくった。アディショナルタイムにPKを与え、1失点したが、終始ゲームの主導権を握っての快勝だった。

海賊軍団を仕切る黒髭の親分、前田高孝監督はベンチの前でポケットに手を入れ、静かに子分たちの戦いぶりを見守った。

準決勝を前に国立に向かう心境を問われると「国立だからどうというのはない。近くにうまいラーメン屋あるでしょ? そうホープ軒、あれ食いたいね」と不敵に笑った。その国立の雰囲気にのまれることなく、普段通りの自分たちのサッカーを思う存分に発揮。パイレーツの異名通りに聖地でも大暴れした。

近江は今大会、優勝候補に挙げられる存在ではなかったが、初戦の日大藤沢(神奈川)、3回戦の明秀学園日立(茨城)をPK戦の末に競り勝つと、準々決勝でもタレント軍団の神村学園相手に後半アディショナルタイムの劇的なゴールで逆転勝ち。そしてこの日は、地元東京の堀越を圧倒した。

一戦ごとにパワーアップしていく海賊たち。その航海はついに最終章を迎える。

海賊王に俺はなる-。青森山田という世代最強のチームを相手に、大物食いストーリーはハッピーエンドとなるか。乞うご期待!

【高校サッカー】スコア速報はこちら