浦和レッズのGK西川周作(37)が9日、さいたま市内で行われた練習後、アジアカップ(アジア杯)で日本のゴールを守り続けたGK鈴木彩艶(21=シントトロイデン)をおもんばかった。

鈴木はアジア杯で全5試合に出場し、計8失点。チームもベスト8で敗退し「チームを壊すようなシーンが多くて。何も出来なかった大会だった」と振り返っていた。

西川は、浦和で切磋琢磨(せっさたくま)してきたそんな後輩に、「間違いなく彼にとっていい経験にもなったと思う。日本代表のGKは勇敢でいなければいけない。彼が全ての試合に出て、ゴールを守り続けたことに意味がある」とねぎらった。

自身は23歳だった09年10月に静岡・日本平で行われた香港戦(6-0)でA代表デビュー。「今でも覚えていますけど闘莉王さんがすごく声をかけてくれた。円陣を組んだ後に、闘莉王さんが、お前を信じているから大丈夫だぞ、と。そのひと言で、やってやろう、という気になれた。経験値がない自分を、安心させてくれた」。試合中は、臆せず闘莉王ら最終ラインをコーチングする声を出せたという。

A代表のゴールマウスを守った経験があるからこそ、鈴木のプレッシャーも理解できる。敗れた準々決勝イラン戦では、終盤にPKでの失点を許したが、今大会でベストなパフォーマンスを見せた。「相当なプレッシャーを感じていたと思いますが、それを見せないぐらい、ビルドアップもしっかりつないでいたし、立て直していた感があって、うれしかった」と振り返った。

GKは若い時に大きなミスを経験することで、後に成功するケースが多い。西川も「間違いないです」と即答した。「GKはミスしてなんぼ。ミスを成長のエサにするというか。自分もそうやってきた。逆に、ミスをしないと自分の限界域が分からないもの。ここまでは行けるな、あのボールだったらここまで行けて、それ以上は難しいな、と分かるので。ミスして学ぶのはGKにとって一番大事ですね。今回、ミスに対していろいろ言ってくる人がいましたけど、それは間違っていると思います」と強い口調で言い切った。

アジア杯の期間中、SNSでは鈴木に誹謗(ひぼう)中傷も届き、鈴木も「差別的な発言とかというところは控えていただきたい」と訴えた。西川は「SNSはいい形で利用できたらいいですけど…。選手は目にするので。そういったところは、最後は自分の親指に、これ投稿していいのか、というのは、問いかけながらやらなければいけないんじゃないかな、と強く思います」と強調した。【岩田千代巳】