J2優勝に向け、大きな1歩を踏み出した。モンテディオ山形が、直近10試合負けなし(7勝3分け)の千葉に3-2で逆転勝利。

前半に失点も、後半から出場したFW高橋潤哉(26)が、後半9分に右足、同15分に頭で決める同点&勝ち越しゴール。同47分にMF坂本亘基(25)がダメ押しの3点目。これが決勝点となり、会場と画面越しで応援するサポーターに白星を届けた。

冷たい雨が降り注ぐアウェーで前半11分に早々と失点。雨脚が強く、気温も低かったが、山形サポーターの熱量は全く冷めなかった。フクアリの一角を染めたモンテブルーに、高橋は「アウェーを感じさせないくらい熱い応援をしてくれている。点を決めてサポーターの皆さんの前に行きたいという思いだけでした」。0-1で迎えた後半9分、左CKからこぼれ球を拾ったDF熊本雄太(28)のラストパスを、高橋が右足でゴール右隅へ決めて同点。力強いガッツポーズに応援がさらに熱を帯びた。同15分には、MFイサカ・ゼイン(26)からのクロスにドンピシャのヘディング弾。今度は一目散にサポーターが待つスタンドへ両手を広げて駆けだし、何度も雄たけびを上げた。高橋は「J2を優勝するために、開幕戦はすごい大事。勝ち点3を取れたことはよかった」と勝利をかみしめた。

昨季は14試合で2得点だったが、今季は開幕戦で2得点。さらに3点目も高橋のチャンスメークから生まれ、渡辺晋監督(50)も「45分で2ゴール。こんなに素晴らしい結果はない」と、手放しで褒めた。しかし、高橋は「(この結果に)浸る暇がない」と表情を緩めず。「また次、貢献しなければ自分の立場もないですし、チームが優勝するために勝たないといけない。切り替えて向かっていく」と勝ってかぶとの緒を締めた。

指揮官は会場と中継を通して応援してくれたサポーターに「間違いなく彼ら(サポーター)が、アウェーにかかわらず素晴らしい空気をつくってくれたことが選手を勇気づけてくれましたし、選手の足を前に運ばせてくれた。彼らと一緒につかんだ勝利だった」と感謝した。山形一丸となってつかんだ勝ち点「3」。J2優勝へー。この先もサポーターとともに「ゼンシン」する。【濱本神威】

 

〇…1点リードと、まだまだ気の抜けない後半ロスタイムで坂本は冷静だった。「キーパーが思ったより寄せて来なかったので、行けるなと思って打ちました」。飛び出した相手GKとの距離を見て、落ち着いて右足を振り抜き、決勝ゴール。チームメートとひとしきり喜んだあとは、サポーターの応援に両手を上げて応えた。坂本は「アウェーなのに多くのサポーターが駆けつけてくれて、アップの前からすごい大きい声で応援してくれて、心を動かされた。すごい力になったので、感謝の気持ちを込めて(サポーターの方を)向きました」と振り返った。