ようやくトンネルを抜けた。北海道コンサドーレ札幌がG大阪を1-0で下し、開幕7戦目で今季初勝利を挙げた。

後半28分、MF宮沢裕樹(34)がヘディングシュートで先制点を挙げ、虎の子の1点を守り切った。クラブ一筋17年目の生え抜きの貴重な1発で、連敗は5でストップ。G大阪は今季初黒星を喫し、クラブ新記録だった開幕から6戦無敗を逃した。

開幕から6戦未勝利の札幌を救ったのは、「俺らの10番」宮沢だった。ヒーローインタビューでの「やっぱ俺でしょ、って感じですね」のコメントに、誰もが納得した。両チーム無得点の後半28分。MF長谷川からのクロスに飛んだ。頭で合わせてねじ込んだ。「ボールに魂込めてヘディングした」。08年からクラブとともに歩んできたバンディエラ(チームの象徴)の勝利への執念が実った。

ここぞで勝負強さを見せてきた。J1通算10点目。開幕から7戦未勝利だった22年もシーズン初勝利に導く先制点を決めた。08、12年の2度のJ2降格を経験し「苦しい時代を知っている」。12年以来のJ1最下位に沈む現状に、誰よりも危機感を持って試合に臨む。

プロ17年目の今季は福岡との開幕戦で右太もも裏肉離れを発症して離脱。宮沢不在のチームは黒星を重ねた。前節名古屋戦から5試合ぶりに復帰すると、チームの状態を上向かせた。ペトロビッチ監督は「この2試合、裕樹はピッチで司令官としてしっかりチームをまとめて組織してくれた」と評価した。

1勝に安堵(あんど)している余裕はない。勝ち点4も最下位のまま。「ここからですよ。自分たちはまだまだやれる。こんなところにいるチームじゃない」と宮沢。90分走り抜いた34歳は、白星の味に浸ることなく、すぐに気持ちを引き締めた。【保坂果那】

【J1スコア速報】はこちら>>