柏レイソルが浦和レッズに1-0で競り勝ち、昨年9月2日の横浜F・マリノス戦以来、7カ月ぶりにホームで勝利を手にした。

エースFW細谷真大(22)とDF関根大輝(21)が、パリオリンピックの予選を兼ねるU-23アジアカップに招集され不在。その中でも、柏の強みである「コンパクトな守備」を徹底させ、浦和の強力な攻撃陣を封じた。浦和がバックパスをすれば、前線が猛プレスをかけ、最終ラインがぐっと上がる。90分を通して相手にスペースを与えなかった。

昨年5月に井原正巳監督が就任して以降、守備の整備に力を注いだ。昨季は、守備を固めたが、勝ちきれない試合が続き、引き分けが「15」。残留争いに巻き込まれ、最終節で残留を決めた。今季も3試合で引き分けが続いており、指揮官も「勝ちきれないと去年の二の舞いになる」と危機感を口にしていた。

0-0の後半27分、MFマテウス・サヴィオの右からのクロスに、ゴール前で途中出場のFW木下康介が右足で1タッチで押し込み先制すると、最後まで守備陣が耐え抜き1-0で競り勝った。

DF古賀太陽(25)は「下がりすぎずに全体の距離をコンパクトに保てた。全員で塊のように動くことはテーマで持っていた。これが今年の自分たちの良さ」と振り返った。細谷と関根が不在でも「2人がいないからといってやり方が変わるわけではない。不在をネガティブに感じることなく今日の試合に臨めた。ここから連戦もある中で、勝てたのはいい結果」。だれが出ても、柏の強い守備を継続したことに大きな手応えを口にした。

浦和には20年以来、勝てていなかった。残留争いの昨季は、浦和サポーターから「J2柏」のコールも受けた。だが、今季は去年とは別の姿だった。古賀は「大量失点ばかりだったので…」と苦い経験を振り返り「0で終えられたこと、久しぶりに日立台で勝てたことは格別」と笑みをこぼした。「でもまだホームで一つ勝っただけ。これをスタンダードにしていかなくてはいけない。去年とは違うと見せ続けないといけない。一喜一憂することなく継続することだけ」と気を引き締めた。【岩田千代巳】