<J1:G大阪3-2浦和>◇第13節◇18日◇万博

 ワンマンショーだ!

 G大阪の日本代表MF遠藤保仁(30)が、W杯後初戦で劇的ゴールを決めた。後半ロスタイムに右足ミドルシュートを決め宿敵浦和を撃破。前半ロスタイムには18歳のFW宇佐美の同点弾をアシストし、後半19分にも絶妙パスからオウンゴールを演出。W杯南アフリカ大会で日本を16強に導いた男が、全3得点に絡む活躍で、目標とする14年W杯ブラジル大会に向けた第1歩を刻んだ。

 誰が、こんな結末を予想しただろうか。後半ロスタイムにまさかの同点に追いつかれ、終了まで残り数秒。遠藤がゴール前へ走った。武井の左クロスを中央のイ・グノがつぶれ役になり、目の前にボールが転がってきた。右足を冷静に振り抜くと、ボールは一直線にゴールに吸い込まれていった。後半48分40秒。土壇場で遠藤が勝利を呼んだ。

 「まだワンチャンスはあると思っていた。最後の攻撃、いいところにボールが来ましたし、後は落ち着いて(ゴールに)入れるだけ。フリーでしたし、寄せてきた(DF)坪井の位置も完全に分かっていた。コースにさえ飛べば、あれは難しくないシュートです」。

 まさに遠藤ショーだった。前半ロスタイムにはドリブルでDF2人を寄せ付け、中央の宇佐美へパスを出し一時は同点となる得点をアシスト。後半19分にも技ありループパスをゴール前へ送りオウンゴールを誘った。決勝弾を含め、全3得点はすべて遠藤から生まれた。

 予想を超えた活躍に、西野監督も脱帽だった。「(終了間際の)あの場面でシュートを打つのは可能かも知れない。だが決めてしまう。コンマ数秒、コンマ数センチの厳しいプレーを感じた上で実践してしまう」。14年ブラジル大会出場も公言する遠藤は「これが次に向けたスタート。(W杯で)燃え尽きた感は全くない。少しでも上にいきたい」と力強く宣言。遠藤に救われ、前半戦でつまずいたチームは今季4勝目。頼もしい男に導かれ、G大阪が逆襲ロードを走っていく。【益子浩一】