<全国地域リーグ決勝ラウンド:三洋電機洲本1-1(PK3-0)札幌大GP>◇21日◇静岡・藤枝総合運動公園サッカー場◇1次ラウンド

 来季のJFL昇格をかけた第34回全国地域サッカーリーグ決勝大会の1次ラウンド(R)が21日、静岡・藤枝総合運動公園サッカー場などで行われた。グループBに登場した三洋電機洲本(関西1位)に所属し、磐田DF駒野友一(29)の実弟・森川祐輝(28)が勝利に貢献した。初戦の札幌大GP戦で、後半途中から出場し、同点弾を決めた。1-1のまま迎えたPK戦では自らキッカーに立候補してゴール。駒野がスタンドで見守る中、逆転勝利の立役者となった。

 駒野がスタンドに駆けつけたほぼ同時刻に、弟のMF森川がピッチに立った。去年1月に結婚して森川姓に替わり今は淡路島の洲本に在住している。大切な弟の大事な試合に駆けつけたその情熱に弟森川は見事に応えた。後半17分、0-0の状況で右MFとして交代出場。「流れを変えたかった」と話した森川は、果敢なドリブル突破や、献身的な守備で、交代直後からチームを鼓舞した。だが、同27分に流れの中から失点。勢いづいた流れを寸断され、一気に敗戦ムードが漂った。

 失点を許した5分後、左クロスを相手DFがクリアミス。ゴール中央に流れてきた浮き球を右足のダイレクトボレーで合わせて左隅に突き刺した。森川は「積極的に打った結果。まぐれです」と照れ笑いしたが、駒野は「勝利につながった1点だった」と笑顔で弟の活躍をたたえた。

 同大会のルールは90分で決着がつかなければ、延長戦を行わずにPK戦となる。そこで、森川が最初のキッカーに立候補した。駒野はPK直前に苦笑い!?

 を浮かべていたが、後攻の森川は、落ち着いてゴール右隅に流し込んだ。その後は味方GKが連続でセーブして3-0で勝利。値千金の同点弾に加え、PK戦でも大役をこなしたヒーローは「PKは誰が蹴っても緊張する。理由はないけれど、自分がいい流れを作りたかった」と胸を張った。

 JFL昇格の条件は、1次Rを1位で通過し、決勝Rで2位以内に入ることだ。森川は「次戦を全力で戦います」と、昨年逃した同R突破に向けて意気込みを語った。【神谷亮磨】