J2山形が2年越しの“恋人”を射止めた。盛岡商MF谷村憲一(3年)の加入内定記者会見が16日、盛岡市内のホテルで行われた。左足からの正確なキックにほれ込み、1年生の秋から熱烈なラブコールを送り続けた185センチの大型ボランチ獲得に成功。U-17(17歳以下)日本代表にも選出された東北屈指の逸材を、山形からW杯戦士に育てる。

 山形に、誰もが才能を認める逸材が加わった。クラブスタッフが、谷村が現仙台のMF藤村とダブルボランチを組んでいた1年生の秋からマークを開始。この日、会見に同席した中井川茂敏ゼネラルマネジャー(GM=54)は「当たりも強く、高校レベルでこれだけの才能を持つ選手は少ない」と絶賛。今年5月に練習参加した際、奥野僚右監督(43)も「ぜひ獲得してほしい」と一目ぼれし、仙台大との練習試合では、90分間フル出場させた。関係者が大会ごとに足を運び、どのクラブより早く7月中に獲得の意思を表明。他クラブとの争奪戦に持ち込ませず、「一本釣り」に成功した。

 万能性も高く評価している。中井川GMは「両足で正確なボールを蹴るので、MFならどこでもできる」と話す。チームは14日の岐阜戦(0-0)で、ボランチが本職の永田を右サイドMFに起用。左サイドにはFW山崎を置く布陣で臨んでいる。ルーキー宮阪がボランチに定着しているが、MF陣の人材にやや難があり、補強ポイントだった。ヘディングも強い谷村が加われば高さ不足も補える。同GMは「早い段階で使えるめどを立てたい」と即戦力としても期待する。

 ユースからの昇格組をのぞく高卒ルーキーの獲得は5年ぶりになる。08年のDF山田(千葉・市船橋)MF広瀬(群馬・前橋育英)以来で、最近では宮阪(明大)ら大学生を中心に補強してきた。才能あふれる17歳の育成については「ユースの寮の食事で体を作る」(中井川GM)と、生活面からサポートする。まずは山形の中心選手に育て上げ、15年にニュージーランドで開催されるU-20W杯日本代表に。そして将来はA代表に送り出すつもりだ。【鹿野雄太】

 ◆谷村憲一(たにむら・けんいち)1995年(平7)1月26日、盛岡市生まれ。小2の時に見前FCでサッカーを始める。中学時代はグルージャ盛岡ユースに所属。盛岡商では入学直後からベンチ入りし、1年秋からレギュラー。U-17日本代表にも選出された。ポジションは守備的MF。利き足は左。好きな選手はG大阪の日本代表MF遠藤。家族は母、姉、妹、弟。185センチ、71キロ。足のサイズは28センチ。血液型B。