ロナウドが泣いた。強豪ポルトガルが0-1で伏兵モロッコに惜敗した。

2戦連続ベンチスタートとなったFWクリスティアノ・ロナウド(37)は後半6分から途中出場したものの無得点に終わった。試合後には号泣しながら、足早にロッカー室へと引き揚げた。サッカー史に名を刻んできたスーパースターは、不本意な形で最後とみられる5度目のW杯から姿を消した。

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必死のプレーも実らなかった。後半途中出場のロナウドは同点ゴールを狙って走った。ロスタイムにはスルーパスを受けて強烈な右足シュート。しかしこれがGKブヌに阻まれると、ロナウドを目がけて放り込まれるクロスも最後までピタリと合うことはなかった。

終了後、すぐロッカー室へ向けて歩き出した。ピッチに乱入したファンがロナウドへと駆け寄ったが、この日ばかりは対応する余裕はなし。スタジアム内の通路に入ると、涙が止めどなくあふれ、おえつを抑えることはできなかった。

代表通算196試合118ゴール。史上初めてW杯5大会で得点を決めた選手にもなった。だが最後のW杯になるとみられる今大会の幕切れは、あまりにもの悲しいものとなった。

ケチのつき始めは今夏。欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場チームへの移籍を志願し、所属していたマンチェスター・ユナイテッドへの合流が遅れた。移籍先は見つからず残留。だが開幕から調整不足は明らかだった。今季から指揮を執るテンハグ監督の起用法にも不満を見せ、試合途中で帰宅してしまうという“事件”を2度も起こした。W杯前に受けたインタビューでは監督やクラブ首脳を徹底的に批判。これが決定打となりクラブ退団を余儀なくされた。

無所属で臨んだ今大会でも、尊大な態度は改められることはなかった。1次リーグ韓国戦で後半20分に交代。その際、いらだった様子でテレビのカメラに向かって「監督はオレを交代させるのを急ぎすぎだ」と吐き捨てるように言った。

これを試合後に見たポルトガルのフェルナンドサントス監督が激怒。ロナウドを決勝トーナメント1回戦・スイス戦のスタメンから外した。スイス戦に6-1と大勝すると、この日のモロッコ戦でも先発にロナウドの名前はなかった。

ただ自らが招いたこととはいえ、サッカー界への貢献度を考えると、この幕切れはありえないという声もある。レアル・マドリード時代のチームメートで、元ドイツ代表のメスト・エジルは「クリスティアノについてのネガティブな報道は受け入れられない。スポーツ史上最高の選手の1人をみんなもっとリスペクトすべき」と擁護した。