若きバットマンが最後に大仕事を果たした。クロアチアDFヨシュコ・グバルディオル(20=ライプチヒ)が先制ゴールを挙げ、チームの銅メダル獲得に貢献した。鼻骨骨折のため黒マスクを着用した今大会。類いまれなスピードと守備力を見せてきた最終ラインの逸材は、今大会で評価を急上昇させた。ズラトコ・ダリッチ監督(56)からもヤングプレーヤー賞を受賞すべきと絶賛された。
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漆黒の仮面を外すと、ほっとしたような柔らかい表情が広がった。「今日の試合は銅メダルに値することを証明した」。20歳のグバルディオルは、経験豊富な先輩たちとともに、輝く証しをつかんだ。
今大会で飛躍したディフェンダーはこの日、攻撃でもセンスを見せた。前半7分、フリーキックからつながれた浮き球に豪快に飛び込み、力いっぱい頭で押し込んだ。その2分後に1度は追いつかれるも、モロッコの猛反撃に体を張った守備でしのいだ。
この4日前、トップの中のトップを知った。準決勝で相対したのは、アルゼンチンのFWメッシ。世界のエースに何度もかわされ、翻弄(ほんろう)された。「いい経験ができた」。すぐに吸収し、糧にできるのも若さという強み。「アルゼンチン戦は終わった。あの試合には戻りたくない。集中して気概を示さなければならないことを分かっていた」。また1歩、進化を遂げた。
恵まれた体格、類いまれなスピード、冷静で大胆な判断力。1年ほど前まで10代だったと思えぬ能力に、試合を追うごとに評価は急上昇。ビッグクラブによる争奪戦が激化している。
「世界最高のDF」と絶賛してきたダリッチ監督は、再び“自画自賛”した。「私にとって彼は最高だ」。賛辞は止まらず、ヤングプレーヤー賞を受賞すべきとアピール。「そのような賞に値すると信じている。通常FWの選手が選ばれることが多いが、ヨシュコ(グバルディオル)は守備の選手が賞に値することを証明している」と続けた。
当の本人は指揮官の気も知らず、チームの勝利の余韻に浸っていた。「私はそのような賞には興味がありません。私が気にかけていたのは銅メダルで、夢をかなえた」。大会前の鼻骨骨折で黒マスク着用を余儀なくされながら、大物ぶりを見せた屈強なバットマン。W杯を去った後も、話題の中心となりそうだ。【磯綾乃】
◆ヨシュコ・グバルディオル 2002年1月23日、クロアチア・ザグレブ生まれ。185センチ・80キロのDF。名門ディナモ・ザグレブのユースを経て同クラブでプロデビュー。21年夏からライプチヒ(ドイツ)でプレーしている。ここまでブンデスリーガ通算42試合2得点。各世代別クロアチア代表に選ばれ、A代表には21年6月6日の親善試合ベルギー戦でデビューした。代表通算19試合2得点。


