英ミラー電子版に驚くべき動画が掲載された。「7500ポンド(約111万円)植毛の舞台裏・ミラーサッカー班が、ルーニーが受けた手術がどのようなものか明らかにします」という記事とともに、同サイトのトーマス・ブリストウ記者が実際に植毛手術を受けた映像をアップしたのだ。

 20代前半から髪の生え際が後退しはじめたというブリストウ記者。もともと髪質が細く、なかなか自分好みの髪形にすることもできず、コンプレックスを持っていたという。現在28歳。手遅れになる前になんとかしたいという一心で、マンチェスターにある「ファージョ・ヘア・インスティテュート(FHI)」の門をたたいた。

 実際にルーニーはロンドンにあるクリニックで、3万ポンド(約442万円)の手術を受けたようだが、ブリストウ記者が受けた約111万円の手術も決して安くはない。しかもFHIは、かつてリバプールで活躍した元アイルランド代表MFジェーソン・マカティアの植毛も担当したことがあるというすご腕クリニックだ。

 今回はFHI側がミラー編集部に話をもちかけ(ブリストウ記者は「運命だった」と言っている)、記事で宣伝してもらうことを条件に無償で施術してくれたもようだ。

 植毛と聞くと、襟足あたりの皮膚を髪の毛ごとビリっとはがし、それを前頭部に移植するものだとばかり思っていた。だが今回、この記者が受けたFUEという手術は違っていた。

 顕微鏡のようなもので確認しながら、毛根を1株ごとに丁寧に採取し、それを薄毛の部分に植えていく。なかなか気の遠くなるような作業をしていた。これなら高額な手術になるわけだ。

 それにしても術後のブリストウ記者の表情が、やけに明るい。植毛手術をしてもすぐに頭髪がモジャモジャ生えてくるわけではなく、まだ血のにじんだ頭皮が痛々しい。順調に頭髪が成長してきたことを確認するまでに数カ月を要するという。

 それでも手術前の同記者の自信なさげな弱々しい表情に比べ、術後の充実感たっぷりの顔は何なのだ。それだけ大きなコンプレックスを抱えていたということか。

 欧州サッカー界では植毛がより一般化しているようだ。この記事によると、ルーニーの他にも、チェルシーのコンテ監督、リバプールのクロップ監督、元マンチェスター・ユナイテッドのFWベルバトフらも手術を受けているという。

 ブリストウ記者も頭髪とともに自信を取り戻した。世の薄毛男性の方々も、1度真剣に植毛を考えてみてもいいかもしれない(僕は面倒くさいので結構です)。

 【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)