「現在、世界で最も強いサッカークラブは?」と聞かれたら、多くの人がプレミアリーグのマンチェスター・シティーかリバプールの名前を挙げるだろう。

もちろん今季欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝でマンチェスターCを破ったレアル・マドリードも素晴らしい伝統を持つ“盟主”であることは間違いない。

ただ戦術的な部分も含め、サッカー界への影響力を考えるとマンチェスターCとリバプールが現在の「2トップ」だと言えるのではないだろうか。

その2強に対して、今季まだ1度も負けていないクラブがある。トットナムだ。マンチェスターCに対しては1-0、3-2とシーズン2勝。リバプールとは2-2、1-1といずれも引き分けている。

1-0で勝利したマンチェスターCとの今季初戦でトットナムを率いていたのはヌーノ前監督。だが前監督が成績不振で解任され、昨年11月にイタリア人のアントニオ・コンテ監督(52)が就任。以降の2強との3試合で好結果を残せたのは同監督の手腕によるところが大きい。

現役時代はイタリア代表、ユベントスで活躍し、監督としてはユベントス、チェルシー、インテル・ミラノで計5回、リーグ優勝を勝ち取った。コンテ監督の指導とはどのようなものなのか。

トットナムは1-1で引き分けた7日のリバプール戦で、守備的な5-4-1システムでカウンターを狙いながら戦った。相手の得点源サラー、ディアスがボールを持つと2人でマークした。

英インディペンデント紙・電子版によると、DFベン・デービス(29)はコンテ監督について次のように語っているという。

「彼はとても細部にこだわる監督だ。この試合(7日リバプール戦)に向けて1週間、準備してきた」

「細かい部分へのこだわりようは信じられないくらいだ。まずはじめに対戦相手どうこうよりも、自分たちのことを徹底的にトレーニングすることが多い」

「我々は(試合開始時点で)どのようにプレーするのかとても明確だ。コンテ監督は就任以来、それをチームに落とし込み続けていて、そこから対戦相手によって微調整する。どのようにプレスをかけ、どのように守るのかとか」

「だからピッチ上ではとてもプレーが簡単になる」

トットナムは現在、プレミアリーグで勝ち点62の5位。残り3試合で、勝ち点67の3位チェルシー、同66の4位アーセナルと、来季欧州CL出場権のある4位以内を争っている。

デービスは「世界最高の2チームを相手に負けていないのは、素晴らしい1つの成果だ。だが最終的な順位が我々の今季の戦いぶりを示すものになる。今季は少し安定感を欠いた時期もあったから」という。

12日は4位以内を争うアーセナルとの直接対決。「ノースロンドン・ダービー」だ。デービスは「木曜日の試合は大一番だ。我々は何をすべきか分かっている」という。コンテ監督のもと今季の集大成を発揮する時がきた。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)