スペインリーグで7連勝と勢いに乗るバルセロナは16日、欧州チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦第1戦でパリ・サンジェルマンと対戦する。

バルセロナはシーズン開幕前に勃発したクラブ内部のさまざまなトラブルを乗り越え、現在調子を取り戻している一方、ケガ人続出という大きな問題を抱えている。その主な理由に、新型コロナウイルスの影響により、シーズンが例年よりも約1カ月遅れで開幕し、過密日程となっていることが挙げられるだろう。

クーマン監督が「今の日程は選手を殺すものだ」と苦言を呈し、レアル・マドリードのジダン監督が「日程がクレイジーなのは確かだ」とその意見に追随している通り、選手たちは厳しい状況下でのプレーを強いられ、無理がたたっていることが、ケガにつながる原因のひとつと思われる。

バルセロナは昨年8月に昨季の欧州CLを戦った後、十分な休みを取れず、満足いくプレシーズンを送れないまま今季をスタート。開幕時はテア・シュテーゲンをケガで欠き、11月にはピケとアンス・ファティが重傷を負うことになった。

そのような状況下、序盤は勝ち点獲得に苦しみ順位を落としていたが、徐々に調子を取り戻し、リーグ戦で最後に敗れたのは12月5日のカディス戦。そして2021年に入り7連勝を達成している。

しかし、ただでさえ過密日程のリーグ戦に加え、欧州CL、スペイン・スーパー杯、国王杯を戦ってきたことが大きな負担となり、シーズン半ばを過ぎた今、負傷者数がピークに達している。

実際、バルセロナは21年に入り、1月3日のウエスカ戦から今月13日のアラベス戦までの約40日間、公式戦13試合、約3日に1試合というハイペースで戦っており、今月10日にアウェーで行われた国王杯準決勝第1戦セビリア戦で今季最多の負傷者数を記録することになった。ピケ、コウチーニョ、アンス・ファティ、セルジ・ロベルト、アラウホ、デスト、ピャニッチ、ブライトバイテの8選手をケガで欠き、0-2の敗北を喫している。

さらに直近の試合となったアラベス戦でも6選手が負傷欠場した。これは11月24日にアウェーで行われた欧州CL1次リーグ第4節ディナモ・キエフ戦で記録した、今季2番目の負傷者数に並ぶものである。さらに今後1カ月も約3日に1試合という過密日程が続くためケガ人が増えるかもしれない。

バルセロナは今季ここまで公式戦34試合を戦い、毎試合最低2選手が負傷欠場し、シーズンを通じての1試合平均の負傷者数は4人となっている。これまで、負傷8選手が1試合、6選手が2試合、5選手が5試合、4選手が20試合、3選手が5試合、2選手が1試合あった一方、1選手以下は0試合である。

そして今季、トップチーム23選手中16選手がケガを負っているが、中でもDF陣で多発しており、ラングレとネト以外の選手全員がフィジカル面に何らかの問題を抱えてきた。ピケが23試合、セルジ・ロベルトが19試合、ウムティティが15試合、テア・シュテーゲンとアラウホが8試合、デストが4試合、ジュニオルが3試合、ジョルディ・アルバが2試合をケガで休んでいる。またチーム全体を通じてのトップはアンス・ファティで24試合となっている。

しかし、このような事態はバルセロナだけに起こっているのではない。同様に過密日程のレアル・マドリードも、今月9日のヘタフェ戦で今季最多の8選手が負傷欠場した。さらにビリャレアル、グラナダ、バリャドリード、カディス、オサスナも直近のリーグ戦で5選手以上がケガでプレーできておらず、新型コロナウイルスの何らかの影響を受けている可能性がある。

バルセロナはこの後、再開する欧州CLを皮切りに、シーズンの佳境に入っていく。これまで以上に気の抜けない試合が続く中、タイトル獲得に向けて、ケガ人をどのように抑えていくかが大きな鍵の1つとなるだろう。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)