シーズンが佳境に入る中、バルセロナが調子を上げ続けている。3月の代表ウイーク前最後の公式戦となったレアル・ソシエダード戦はアウェーでの難しい一戦と予想されたが、6-1という圧勝を飾りそれを証明して見せた。

現在、リーグ戦を5連勝して勝ち点を62に伸ばし、首位アトレチコ・マドリードと勝ち点4差で2位につけ、3位レアル・マドリードとの勝ち点差を2としている。リーグ戦18試合無敗をキープし、最後に敗れたのは昨年12月5日のカディス戦だった(1-2)。

スペイン国内では、クーマン監督がシステムを3バック(3-5-2および3-4-2-1)に変更したことが成功の大きな要因と考えられている。昨夏、メッシの退団騒動やルイス・スアレスなどのベテラン選手放出などさまざまな問題を抱えた中、新監督に就任したクーマン氏はシーズンを4-2-3-1のシステムでスタートするも思うような成果を挙げられなかった。その後、4-3-3に切り替え勝ち星を積み重ねていくが、今年2月にホームで行われた欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第1戦パリ・サンジェルマン戦に1-4の大敗を喫し、スペインリーグでカディス相手に1-1で引き分けたことで、そのシステムに限界が見られた。

これによりクーマン監督は2月27日のスペインリーグのセビリア戦、今季3番目のシステムとなる3バックを採用し、アウェーながら2-0の勝利を達成。さらにその4日後、スペイン国王杯準決勝第2戦で再びセビリアとホームで対戦して3-0で勝ち、第1戦のスコアをひっくり返し決勝進出を果たすことに成功する。

バルセロナはセビリア戦を皮切りとした公式戦ここ6試合、5勝1分け無敗、18得点3失点という好成績を収め、クーマン監督が新システムである3バックを成功させたことを証明したのである。

スペイン紙アスが「ここ数十年のバルサではあまり見られなかったシステムだが、選手の資質を最適化しようとする監督の個性の表れであり、バルサを確信に満ちあふれたものにしようとしている」とクーマン監督の手腕を高く評価すると、スペイン紙マルカも「バルサは今、素晴らしい状態にある。時間はかかったが、ロナルド・クーマンはこの7カ月間の戦いの中、最高のパフォーマンスを求めて、システムやポジション、選手を変更しながら、ついに成功を収めた」と大絶賛した。このことは、マドリードを拠点とする2大スポーツ紙にもその実力を認めさせたということに他ならない。

クーマン監督はRソシエダード戦後、現在のチーム状況について「フィジカル面がとても良い状態にあり、ボールがない時にアグレッシブにプレーしている」とシーズン終盤を迎える中、選手たちのコンディションが万全の状態であることを強調した。

そして、今後も3バックを継続するかについては「ほぼ1対1でプレーすることになるリスクの高いシステムだ」と説明しつつ、「重要なのはボールがないところでのプレスだが、選手たちが大きな自信を持っているように私には見える」とうまく機能していることを示唆している。

バルセロナの新システムにはいくつものポジティブな特徴が見られる。1番目はウイングバックの位置が非常に高く、サイドアタッカーのような役割を果たしていること。これによりバルセロナは、さらに攻撃的なサッカーを展開することが可能となった。特にジョルディ・アルバはシステム変更の恩恵を受ける選手となっており、攻撃への貢献度が以前よりも増している。またデストもRソシエダード戦で2ゴールを決めている。

2番目は守備の再構築とデヨングのセンターバック起用。バルセロナはシーズン序盤、守備面で数々のミスを犯していた。クーマン監督はずっと改善に努め、3バックに変更し守備を再構築した。そしてここ3試合、ピケのケガの回復を待ちつつ、センターバックにラングレとミンゲサを固定し、MFのデヨングをジョーカー的に起用することで安定感を増している。

また、デヨングのセンターバック起用は、チームにより攻撃的な性質を加えることに成功し、後方からゲームを組み立てることを可能にしていると高評価を得ている。

3番目はブスケツの守備が軽減されていること。守備面が改善され安定したことにより、ブスケツは守備に追われる時間が減り、攻撃により集中できるようになっている。

4番目はメッシとデンベレが前線でより大きなスペースを得ていること。3バックに変更したことでできるサイドの広い空間を自由に使えるようになっており、特にデンベレはバルセロナ加入後、最高の瞬間を過ごしていると言われている。メッシは3バックに変更後の6試合で6得点、デンベレは3得点と、ともにゴールを量産している。

今季も残り2カ月を切り、スペインリーグと国王杯の2冠達成の可能性が残されている中、今後チームに変化があるとすれば、ピケがケガから復帰した際に、デヨングが中盤に戻ることでグリーズマンもしくはペドリがベンチ行きの犠牲者になるとみられている。新たなシステムで臨むバルセロナがこのままのパフォーマンスを維持して巻き返しを図り、Aマドリードを逆転できるかに注目が集まる。【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)